there's a riot goin on
70年代10大ファンクバンド①
There's A Riot Goin' On/Sly & The Family Stone

黒人音楽史上最大の天才は誰か?と問われたら、ちょっと悩んでスライとプリンスの名前を挙げるだろう。圧倒的なカリスマを誇るJBや、人心掌握に長けたクリントンも最大級の天才に違いないけど、優れた作曲能力と卓越したミュージシャンシップを以って、独創的で真にイノヴェイティヴな作品を残したスライとプリンスは本当に偉大だ。
それまでとは段違いの飛躍っぷりを見せた4thアルバム『Stand!』で、スライは一躍時代の寵児へと躍り出た後、71年の『暴動』、73年の『Fresh』までの3枚は、後世への影響力も甚大な宇宙遺産クラスの超名盤。ただ惜しむらくは、キャリアのピークがあまりにも短く、急激に凋落していったこと。74年の『Small Talk』もなかなかの佳作とは思うが、それまでと比べれば格段に落ちることは否めない。
この『暴動』を初めて聴いたのは高3の夏。Pファンクに狂っていた頃で、「JB-スライ-Pファンク-プリンス」と連なる革新ファンクの系譜を辿って行き着いた、思い入れ深いアルバムだ。とは言え最初はまったく理解できないアルバムだった。とにかく酷く音がこもっていて何だか暑苦しい、というのが最初の印象。Pファンクは一発で気に入ったのに、スライは理解するまでに相当時間がかかったのを憶えている。空調も無い真夏の狭い部屋で、こんな暑苦しく理解し難い音楽を、汗をダラダラ流しながら一人悶々と聴く18歳の夏。地獄だ。
当時のライナーノーツも印象深く、当時の日本盤が今手元にないので不確かなのだが、全米シングル・チャート1位を記録した「Family Affair」のヴォーカルはラリー・グラハムによるものだと書かれてあって、その後長い間この間違いを信じてしまっていた。また、プリンス『Sign Of The Times』を引き合いに出して、「『Sign Of The Times』は現代の『暴動』だ」(逆だったかも)みたいなことが書かれていて、プリンスがスライから多大な影響を受けていることが記されていた。最初は、そうかなぁ?なんて思っていたが、何度も繰り返し聴いて少しづつ理解できるようになって、なるほど確かに革新ファンクの系譜は、スライからPファンクを通過してプリンスへと繋がっていることが分かってきた。
アルバム中で特に好きなのが、重く引きずるドラムスとベース、掻き毟るようなワウ・ギターが強烈なファンク「Luv N’ Haight」、呻く様なスライのヴォーカルと、ささくれたクラヴィネットが刺さるスロー・ファンク「Just Like A Baby」、骨太なリズム・ボックスと軋むクラヴィのバウンシーなミッド・ファンク「Poet」、ボソボソした暑苦しいスライのヴォーカルと、メロウで冷やかなエレピの対比が印象的なアシッド・グルーヴ「Family Affair」の、頭4曲。リズム・ボックスの刻みを軸に各楽器がポリリズミックに絡む「Africa Talks To You(The Asphalt Jungle)」、ホーン・アレンジがカッコいい「Brave & Strong」、可愛らしい曲調から一転、サビで一気にファンク度が上がる「(You Caught Me)Smilin'」、同じく可愛らしくポップなメロディと乾いたギターが印象的な「Runnin' Away」、エポック・メイキングな70年のNo.1ヒット「Thank You」のへヴィー・スロー・ファンク・ヴァージョンなど、ドス黒くうねるグルーヴにズブズブと飲み込まれるような、一度嵌ると一生抜け出せない稀有な魔力を持ったファンク・アルバム。