mothership Connection
70年代10大ファンクバンド③
Mothership Connection/Parliament


パーラメントの4thアルバム『Mothership Connection』は、名実共にPファンクの代表作、70年代ファンクの最高傑作のひとつだ。2ndアルバム『Up For The Down Stroke』のタイトル曲、3rdアルバム『Chocolate City』のA面で確立した、Pファンク黄金律とも呼べるようなオリジナリティ溢れる真に革新的なファンク・サウンドを、アルバム1枚余す所なくびっちりと敷き詰めた神盤。クールでクレヴァーな頭脳(クリントン)が、驚異的な身体能力を誇る肉体(バンド)を手に入れ、いきなり叩き出した最長不倒がコレだ。
重く深く潜行し地の底からウネるようなグルーヴ、宙を飛び交う幾何学的な電子音、ゴスペル・ルーツの熱さと猥雑な黒さが入り乱れる肉声の重なり。いわゆるPファンク・サウンドを決定付け、70年代後半~80年代前半のヘヴィーなノリを身上とする多くのファンク・バンドや、Gファンクを代表格とするファンキーなヒップホップ、そしてプリンスやディアンジェロといった革新ファンクの系譜を継ぐ者たちへの影響力はあまりにも甚大だ。
クリントンが床屋の傍ら55年にヴォーカル・グループ、パーラメンツを結成して以来、この金字塔に辿りつくまでに実に20年もかかっている。エディ・ヘイゼル、バーニー・ウォーレルらオリジナル・ファンカデリックに(バーニーはファンカの2ndからの加入だが)、ゲイリー・シャイダー、コーデル・”ブギー”・モッソンら後の中核メンバーが加わったのが72年頃だが、ここにJBスクール卒業生達が流れ込み核融合を引き起こす。74年「Up For The Down Stroke」からブーツィーが本格参戦し、75年『Chocolate City』で八面六臂の大活躍。その後、ブーツィーの手引きでフレッド・ウェズリー、メイシオ・パーカーも合流。また、グレン・ゴインズ、ジェローム・ブレイリー、マイケル・ハンプトンも加入し、まさにファンク・オールスター状態で臨界点に達したのが『Mothership Connection』だ。
とにかく、収録全7曲すべてがクラシック。大半の曲は『Chocolate City』同様にクリントン、ブーツィー、バーニーのトロイカ体制の作曲で、リズム・アレンジはブーツィーとクリントン、ホーン・アレンジはフレッドとバーニーがクレジットされている。冒頭の「P-Funk(Wants To Get Funked Up)」から度肝抜かれる。音数を極限まで削ぎ落とし、テンポを遅らせジリジリと抑制し、サビで一気にグルーヴを解放する。そのヤリ口は「Chocolate City」を踏襲するものだが、より弾力性に富むグルーヴでメリハリが効いている。ホーン・セクションはフレッド、メイシオらによりジャジーなニュアンスまでも吸収し、格段にスケール・アップした。
ほぼ同じテンポで続くタイトル曲「Mothership Connection(Star Child)」もホーン・アレンジが素晴らしい。ギターもベースも単調なフレーズを繰り返しつつ微妙な変化をつけて、大きなグルーヴのうねりを生んでいる。この頭2曲はPファンクの歴史上、最重要曲と言える曲なのだけれど、意外にもドラムスは(河内本によると)マッドボーンらしい。ドラムスの他にもちろんバック・ヴォーカルでもクレジットされているマッドボーンは、実はこの歴史的名盤における貢献度はかなり大きいのかもしれない。
3曲目の「Unfunky UFO」は、先の2曲よりも明快にファンクしていて解りやすい。ジェロームの特徴的なドラミングが非常にグルーヴィーだ。「Supergroovalisticprosifunkstication」はバーニーの幾何学シンセ・プレイが目立つクールな曲。ソウルフルなスロー・ファンク「Handcuffs」は、グレンがゴスペル仕込みの喉でディープに歌い込む。
ジェロームの代名詞と言える転がるようなドラムで始まる「Give Up The Funk(Tear The Roof Off The Sucker)」は、Pファンク代表曲のひとつ。ラストはブーツィーのゴリゴリのベースとバーニーの宇宙的なシンセ、鉄壁のホーン隊、思わず一緒に歌ってしまうガガグガ・コーラスの「Night Of The Thumpasorus Peoples」。
Pファンクはこの後しばらくの間絶頂期をキープし、ファンカデリックやラバー・バンドの他、主要メンバーのリーダー作や傍系グループのアルバムを複数のレコード・レーベルに跨って大量に排出するという確変モードに突入。本当に途轍もないモンスター・バンドだ。