back to oakland

70年代10大ファンクバンド⑦
Back To Oakland/Tower Of Power


アメリカ西海岸、ベイエリア・ファンクの代表格と言えば、もちろんタワー・オブ・パワー(以下、TOP)。太陽の光が降り注ぐカラッと温暖な気候、多様な人種と文化が入り混じる雑多で自由な風土は、そのまま彼の地のファンク・サウンドの特長となっている。パーカッションの効いた埃っぽい乾いたグルーヴ、分厚いホーン・セクション、ロックやジャズ、ラテンと折衷したハイブリットなファンク/ソウル・サウンドは、個人的には非常に好みだ。黒人と白人、チカーノ系など多人種によるメンバー編成のバンドが非常に多いのは、彼の地のヒーロー、スライ&ザ・ファミリー・ストーンの影響もあるだろうが、70年前後のベイエリアにはそうした人種の壁を乗り越えるような自由な空気が充満していたのだろう。
『Back To Oakland』は、TOP全盛期の74年にリリースされた代表作。この頃の面子は、ヴォーカルのレニー・ウィリアムス、鍵盤のチェスター・トンプソンの2人の黒人メンバーを除き、他はすべて白人で固められている。非常にメンバーチェンジの多いバンドだが、いつの時代も常に黒人ヴォーカルと白人のバッキングという構成は一貫している。ヒッピー風情の長髪の白人達が写るメンバー・フォトは何だか異様だが、出てくる音は紛れもなく黒い。特に、ドラムスのデイヴィッド・ガリヴァルディと、ベースのフランシス・"ロッコ"・プレスティアのリズム隊は、同時代の数多のファンク・バンドの中でも屈指のグルーヴを繰り出す。チェスター・トンプソンはブラック・ジャズ・レーベルからソロ作を出していたりするが、TOPでもソウル・ジャズ色濃厚なオルガンが聴ける。バンド・リーダーのエミリオ・カスティーヨ率いる4管からなるホーン・セクションはバンドの看板。ファンクのホーン部隊としては、Pファンクのホーニー・ホーンズと双璧。
『Back To Oakland』は、意外にもファンク・ナンバーは少な目なのだが、まだ荒削りな部分があった前作までと比べると、より洗練され完成度が上がっている。白眉はインストの「Squib Cakes」。各楽器がソロを回しつつ、サビのフレーズはビシッとキメる。高度な演奏力と凄まじいグルーヴを見せつけるカッコいいジャズ・ファンク・チューンだ。「I Got The Chop」は、ジャクソン5が歌ってそうなちょっとポップなファンク・ナンバー。アルバム冒頭とエンディングに収められた「Oakland Stroke」は、キレのいいリズムが転がりまくる激しくカッコいいファンクだが、1分にも満たない短さが非常に惜しい。
ファンクはこれだけで、他はバラードあり、メロウなグルーヴありといった感じ。「Just Start When We Start Makin' It」「Love's Been Gone So Long」はムーディーなバラードでなかなかいい感じ。「Can't You See(You Doin' Me Wrong)」はポップで爽快グルーヴィー。ワルツ風の「Time Will Tell」あたりになると、個人的にはビミョーだけれど、総じてベイエリア・ファンクの名盤と言って間違いない。