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Stand!/Sly & The Family Stone

 Epic '69

デビューから3作目『Life』まで試行錯誤が続いていたスライ&ザ・ファミリー・ストーンが、突如ブレイクスルーを果たした69年の4作目『Stand!』。このアルバムは、来るべき70年代に向けて、新しい時代の息吹き、何かが始まりそうな昂揚感に溢れている。まだファンク・バンドとしての完成一歩手前といったところだけれど、ロックとファンクが溶鉱炉の中でドロドロと溶け合っていくような、凄まじい熱量とダイナミズムを生んでいる。70年代のファンク・バンドの多くが影響を受け、『Stand!』収録曲を挙ってカバーした。マイルス・デイヴィスやハービー・ハンコックも『Stand!』から大いに刺激を受け、表現の幅を飛躍的に拡げていった。スライの最も正統な後継者であるプリンスは、男女黒白混成のバンド編成、従来の黒人ミュージシャンの枠に収まらない音楽性とファッション・センスなど、スライを範とする部分は多いが、特に『Purple Rain』は、『Stand!』のロックとファンクのグラマラスな融合を狙ったかのようだ。
アルバムは比較的穏やかな曲調の「Stand!」でスタートするが、曲途中でいきなりギア・チェンジしファンク・パートに突入する。エフェクトを咬ませたギターと辛辣な歌詞が強烈なスロー・ファンク「Don't Call Me Nigger,Whity」は、スティーヴィー・ワンダー「Love Having You Around」や「Maybe Your Baby」にも影響を与えているに違いない。アルバムの中でも最もエナジー漲る「I Want To Take You Higher」は、一個師団並みの破壊力でグイグイ押し捲る爆アゲ・ファンク・ロック。「Somebody Watching You」は、シニカルで冷めた視線が射抜く地味シブな一曲。「Sing A Simple Song」は、ブルージーなフレディのギター・リフ、ドカドカ踏み鳴らすエリコのドラム・ブレイク、スライのコズミックなオルガン、ズドンと炸裂するシンシアのシャウトとローズのファンキーなヴォーカルなど、いたるところフックだらけの怪物ファンク。No.1ヒット「Everyday People」は、スライの普遍的なポップ・センスが発揮された曲。JBより早かった「Sex Machine」は、ブルージーな長尺のインスト・ジャム。ラストの「You Can Make It If You Try」もまた、多くのフックが仕掛けられたポジティヴでファンキーな曲だ。