all the woo in the world
All The Woo In The World/Bernie Worrell
 Arista '78

ケッタイなジャケットから抱く期待を裏切らない、バーニーの傑作1stソロ。
この人は紛れもなく天才の部類に属するミュージシャンだが、アーティストとしては成功しなかった。あまりに多才過ぎたのだ。クリントンがガッチリとプロデュースした1st、セルフ・プロデュースで、その多才を見事にファンクに収斂した90年の2nd『Funk Of Ages』、この2枚は傑作だった。しかし、それ以降は、そのすべてをフォローしているわけではないけれど、いろいろと手を広げ過ぎて、Pファンク・ファンからは遠い存在になってしまった(ビル・ラズウェルと組んだのもマズかった)。自分の有り余る才能を、ファンク一点に収斂することを良しとしなかった。そこが同じ天才でもファンク以外はあえて切り捨てた(?)ブーツィーとの違い。やはりバーニーのような人には、クリントンのような的確なディレクションを与える存在が必要だったのだと思う。
このアルバムは、クリントンの完璧なプロデュースの下で制作されたアルバムなので、Pファンク作品としては傑作だが、バーニーの全方位型の才能を存分に発揮した作品とは言えないかもしれない。もちろん、鍵盤奏者のリーダー作らしいつくりにはなっている。「Woo Together」は、ストリングスまでも動員した典型的Pファンク・チューンで、バーニーのシンセ、クラヴィネットが超ファンキー。苦虫を噛み潰したような声質のリード・ヴォーカルは、バーニーではなく、この頃にPファンク入りしたジュニー。「I'll Be With You」もジュニーがリードを取るグルーヴィーでメロウな曲で、これはかなりジュニー色の濃いナンバーだが、曲を支配しているのはバーニーの流麗なキーボード・ワークだ。一方、バーニーがリード・ヴォーカルを取る「Hold On」はセンシティヴなスロウで、これは琴線に触れる名曲。ウォーキング・テンポのメロウ・ファンク「Happy To Have(Happiness On Our Side)」、Pファンク・マナー炸裂の長尺スロー・ファンク「Insurance Man For The Funk」と、全曲素晴らしい。