live at the jazz cafe london
Live At The Jazz Cafe,London/D'angelo
 Virgin '14

96年に日本のみリリースされたライヴ・アルバム。98年にはスタジオ録音曲1曲(オハイオ・プレイヤーズ「Heaven Must Be Like This」のカバー)を追加し再リリース。長らく本国アメリカでは正式発売されぬままだったが、2014年になって、更にライヴ音源4曲を追加(「Heaven Must Be Like This」はカット)、実際のショウの進行に沿った形に曲順を変更した「完全版」として、ようやくアメリカでもリリースされた。
デビュー間もない新進気鋭のR&Bアーティストの、その天才の片鱗を余裕で魅せつけた傑作ライヴ盤。もちろんまだクエストラヴもピノ・パラディーノも関わっていないが、ディアンジェロをしっかり支えるバンド・グルーヴ、ゴスペル経由のアーシーなコーラス隊をバックに、ディアンジェロは極上のソウル・ミュージックを歌い奏でる。個人的には『Brown Sugar』以上によく聴いたアルバム。
MCのイントロダクションに続いて、オープニングは意外なマンドリル「Fence Walk」。ディアンジェロは歌っておらず、アンジー・ストーンらコーラス隊がメイン。続くオハイオ・プレイヤーズ「Sweet Sticky Thing」でようやくディアンジェロがリードを取る。が、頭2曲はいずれも2分弱で短く切り上げ、バンドのウォーミング・アップというところ。「Jonz In My Bonz」はオリジナルより速いテンポでスタートし、途中でスロー・ダウン。まったりしたグルーヴに乗って、ディアンジェロのファルセットとローズがゆらゆらと揺らめく。ここまでは米盤の追加曲。「Me And Those Dreamin' Eyes Of Mine」は、ジャジーかつ南部っぽいまったりソウル。『Voodoo』ではファンクなワウ・ギターを弾いていたマイク・キャンベルだが、ここではメロウなギターに蕩ける。クールな「Shit,Damn,Motherfucker」はダークに淡々と進行しつつも、終盤は激しくファンクに燃え上がる。スモーキー・ロビンソン「Crusin'」のカバーは、もうディアンジェロのオリジナルと言っていいほどの、極上のクワイエット・ストーム。アル・グリーン「I'm Glad You're Mine」は米盤追加曲。アル・グリーンでも「Let's Stay Together」ではなくこの曲を持ってくるあたり、いかにもヒップホップ世代。曲の終盤で聴ける官能的なギターのフレーズから、聴き慣れた「Lady」のカッコいいイントロへとスムーズに繋がっていく。「Lady」は終盤のゴスペル的な盛り上がりが日本盤より大幅に長い、9分のロング・バージョン。ここから先の2曲はアンコールで、日本盤では2曲目だったアースの「Can't Hide Love」はここで披露。それにしてもこれは、オリジナルを超えてるのではと思わせるぐらいに、昂揚感溢れる素晴らしい演奏。ラストは「Brown Sugar」。いや本当にカッコいい曲と歌、そしてソウルフルでファンキーな演奏。曲後半はメンバー紹介を挟み、最後は大いに盛り上がって余韻を残しながら幕。