with respect
With Respect/Mr Fiddler
 Elektra '90

これはリアル・タイムでよく聴いていた1枚。Pファンクにハマり始めパーラメントのアルバムを買い漁っていた頃。90年前後には、クリントンも『The Cinderella Theory』をリリースしていたが、そこでタイトル曲をはじめ数曲で名を連ねていたジョセフ・"アンプ"・フィドラーと、その兄のトーマス・"バブス"・フィドラーの兄弟グループ。正直言って、クリントンのソロ・アルバムより全然出来が良く、バーニーの『Funk Of Ages』と並んで82年以降のPファンク作品の中ではベストと言える傑作。
基本はPファンク・サウンドだが、そこにニュー・ジャックやジャズをいい塩梅で溶かし込んでいて、妙にヒップな感触を醸し出している。打ち込みを多用しながらも、肉感的な生っぽいグルーヴを生み出しているのが良い。アンプの鼻にかかったようなヴォーカルは、多分にスライを意識している。ここで自信をつけたのか、以後のアンプのソロ・アルバムではスライ風のヴォーカルをより前面に押し出すようになった。
1曲目の「So You Wanna Be A Gangster」は、ニュー・ジャック調+ジャジーなスウィング感の曲。「Cool About It」はスライっぽいクール・ファンク。アンプの気だるいヴォーカルもスライ風で、このアルバムのベスト・トラック。「Blackout」は「Flash Light」のフレーズを使った正調Pファンク・チューン。クリントンのヴォーカルも聴ける「Pay Party」はヘヴィーな打ち込みファンク・トラック。「Starvin' Like Marvin」はタイトルどおりマーヴィン風の蕩けるメロウ・グルーヴで、なかなか美味。
アンプはその後クリントンとは距離を置き、デトロイトのアンダーグラウンド・シーンの重要人物として暗躍。ムーディーマンなどテクノ方面の作品に関わったり、マックスウェルのデビュー作にも参加。J・ディラに機材の使い方を教えたのもアンプらしい(ディラとQ・ティップの橋渡しをしたのもアンプとのこと)。2004年以降はソロ・アーティストとして現在までアルバム2枚、更にスライ&ロビーとコラボレーションしたアルバムをリリースしており、いずれもファンク・ファンであれば聴いて損はない内容だ。