live
Live/Donny Hathaway
 Atco '72

言わずと知れたダニー・ハサウェイの大名盤。
ソウルフルでグルーヴィー、黒くて適度に汗臭い理想的なソウル・ミュージック。ジャジーな鍵盤、アフロなパーカッション、高度なミュージシャンシップとゴスペル経由の深いヴォーカル。内省的な佇まいと腰を揺らさずにいられないグルーヴが同居する、ダニーの魅力が凝縮された素晴らしいライヴ・アルバム。
A面はハリウッドのトルバドゥール、B面はニューヨークのビター・エンドと、おそらくいずれも狭いハコなのだろう、ステージと聴衆の近さが音から伝わってくる。バンドは、フィル・アップチャーチ、マイク・ハワード、ウィリー・ウィークス、フレッド・ホワイト、アール・デローンといったメンツで、ビター・エンドではアップチャーチに替わってコーネル・デュプリーが加わっている。
1曲目は、当時大ヒットしたばかりの「What's Going On」を早速カバー。ダニーがこの曲に大いに共感しただろうことは想像に難くないが、ここでは完璧にダニー流に仕立てていて、マーヴィンのオリジナルと並び立つほどに素晴らしい。個人的には黒人音楽に入門したての高3の時にダニーの方を先に聴いたこともあり、マーヴィン以上に思い入れがある。「The Ghetto」はアフロ~ラテンの臭いのするグルーヴが強力。ダニーのウーリッツアーのソロ、終盤のコンガ・ソロから教会直送の聴衆との掛け合いへと展開していく鳥肌が立つカッコよさ。流れるようなグルーヴにのってダニーが素晴らしい声を響かせる「Hey Girl」に続いて、「You've Got A Friend」で聴衆は熱狂のピークに達する。
トルバドゥールが開放的な雰囲気だとすると、「Little Ghetto Boy」で始まるビター・エンドはシリアスで内省的。苦悩に悶えるようなバラード「We're Still Friends」なんか相当暗いが、でも素晴らしい。ラストの「Voices Inside(Everything Is Everything)」は長尺グルーヴィーなインスト・ジャム。マイク・ハワード、コーネル・デュプリーのギター、ウィリー・ウィークスのベースと、カッコいいソロを回していく。
ダニーの死の直後にリリースされた『In Performance』、2004年に突如リリースされた、未発表音源を多数含むライヴ・ベスト盤『These Songs For You Live』、2013年の『Never My Love:The Anthology』に含まれた大量の蔵出しライヴ音源など、それぞれ素晴らしいのだが、やはりこの『Live』が1番だ。