rainbow children
The Rainbow Children/Prince
 NPG '01

ワーナーとの泥沼の闘争、例のシンボルマークへの改名、セールスの低迷、私生活でのトラブルなど、90年代に混迷を極めた殿下が、21世紀に入ってようやく闇から抜け出し昔の名前でリリースしたアルバム。プリンスが光を見出した先が例の宗教と言うのが、ファンとしてはいささか複雑な心境ではあったが、何はともあれ殿下が無事帰還を果たしたことに、当時は安堵感と嬉しさを感じたものだ。
『Gold Expereince』や『Emancipation』などは力作だし、大衆音楽としての完成度の高さは言わずもがななのだが、これぞプリンスのオリジナル・サウンド、と言えるものではなく、個性が薄まってしまい、ありふれたポピュラー音楽になってしまったように感じたが、『Rainbow Children』ではプリンス独特のサウンド、個性やアクといったものが戻りつつあるのが分かる。80年代回帰を手放しで肯定するものではないが、かつてのスタイルを徐々に取り戻し、メインストリームのヒップ・ホップやR&Bとの距離感も丁度いいところに落ち着いた感じだ。個人的には2000年代のプリンス作品では一番好きなアルバム。歌詞が宗教臭くエロ要素を排除してしまったのが残念だが、その辺は目を瞑ろう。
1曲目の「Rainbow Children」はジャジーな長尺曲で意表をつかれるが、ジャケットをそのままイメージさせるスウィンギーなグルーヴがカッコいい。アルバム全体がジャジーで暗いムードに覆われているが、『Parade』や『Sign Of The Times』に通じるような、よく「密室的」と評されるような雰囲気が蘇っている。続く「Muse 2 The Pharaoh」はネオ・ソウル調のメロウ・チューンで、これもいい。アンビエントな「Digital Garden」、『Parade』あたりの骨格ファンクを彷彿とさせる「The Work Pt.1」、ちょっとフュージョンっぽいインスト「Sensual Everafter」、夜の闇に溶け込むジャジー・スロウ「Mellow」、『1999』あたりのミネアポリス・ファンクの流儀に則った「1+1+1 Is 3」、「She Loves Me 4 Me」は美メロなミディアム。
そして、アルバムの終盤3曲は最高の盛り上がりを見せる。ドラムスが叩き出す太く重いファンク・グルーヴがカッコいいミッド・ファンク「Family Name」から、キング牧師の演説サンプルを挟んで雪崩れ込む「The Everlasting Now」は、「It’s Gonna Be A Beautiful Night」みたいな超アガるパーティー・ファンク。ホーンズがバリバリ吹きまくり、曲の展開も凝っていて非常に楽しい。ラストの「Last December」は熱狂をクールダウンさせる叙情的なスロウだが、これも凝った展開で曲の後半は壮大に盛り上がる。