curtis
Curtis/Curtis Mayfield
 Curtom '70

インプレッションズ脱退後のソロ1stアルバム。同じく70年リリースのダニー・ハサウェイ『新しきソウルの光と道』と並ぶ、まさに70年代ソウル、ニュー・ソウルの幕開けと呼ぶにふさわしい名盤。
長尺でプログレッシヴかつファンクな曲と、シカゴ・ソウルのテイストを残した甘いソウル・ナンバーが混在するが、やはり聴きモノは前者。冒頭の「(Don't Worry)If There's A Hell Below,We're All Going To Go」からプログレッシヴ全開で、重く歪んだベースに導かれ、サイケデリックなファンク・グルーヴがウネる。スリリングなストリングス・アレンジ、カーティスのファルセットとワウ・ギターのコンビネーションが、クールな昂揚感を醸し出す。後の『Superfly』のヒントになったかもしれない、ブラックスプロイテーション感横溢のダーク・スロー「The Other Side Of Town」、これもダーク・スロウな曲調から、後半アフロ・パーカッションの強烈ソロからホーン・セクション&ストリングス総動員のビッグ・バンド・ジャズ・ファンクへと怒涛の展開を見せる「We The People Who Are Darker Than Blue」、ホーン・セクションが咆哮し、パーカッシヴでクールなファンク・グルーヴが疾走する大名曲「Move On Up」と、カーティスを語る上で欠かせない重要曲ばかり。これらの曲に交じって、メランコリックでスウィートなスロウ「The Makings Of You」、ほのぼのとした暖かいミディアム「Miss Black America」、向い風を切って突っ走るような爽快感溢れる「Wild And Free」、ウォーキング・テンポのシカゴ・ソウル「Give It Up」といった曲が、アルバムのバランスをうまく取っている。
ライノ盤の再発CDは、更にデモ音源などを大量に追加。ギターとベースだけの「Power To The People」とか、正規ヴァージョンよりも好きかも。その他、正規版よりもラフな「Underground」や「Ghetto Child」など、制作の過程を覗き見るようでおもしろい。