im just like you
I'm Just Like You:Sly's Stone Flower 1969-70
 Light In The Attic '14

70年前後に、ごく短期間のみ存在したスライのレーベル、ストーン・フラワー。この頃のスライはドラッグでボロボロ。バンド・メンバーからも愛想尽かされ、物騒な取り巻きに囲まれながら、自宅屋根裏のプライヴェート・スタジオで1人でシコシコとレコーディングをしていた時期。その結果がアルバム『暴動』として纏められるわけだが、ストーン・フラワーは丁度その頃に立ち上げられた。
ストーン・フラワーは、スライの末妹ヴェットを中心とした3人組女性グループのリトル・シスター、白黒混合6人組バンドの6IX、ソウル・シンガーのジョー・ヒックスの3組が所属し、計5枚のシングルをリリース。この編集盤はそれらシングル曲に加え、別テイクや未発表曲(スライ個人名義の曲も含む)など、全18曲を収録。すべてスライが作曲・プロデュース、『暴動』制作時の音源だけに、このアルバムで聴ける音は『暴動』そのままのムードに支配されている。刻みつけるリズム・ボックス、噛みつく様なワウ・ギター、ギトギト粘りつくクラヴィネット、虚ろに漂うキーボード、ローファイでアシッド、暗く澱んだグルーヴはまさに『暴動』サウンド。シングル・リリースされた曲は以前にも、『Listen To The Voices Sly Stone In The Studio 1965-70』という編集盤に収録されていたが、今回こうして未発表曲も含めフラワー・ストーン・レーベルの全貌が詳らかにされたことは、非常に意義深いと思う。
レーベルの看板グループであるリトル・シスターは5曲収録。シングル・リリースされた「You're The One(Parts 1&2)」「Stanga」「Somebody's Watching You」はいずれもグルーヴィーな傑作。その他、「Hot Fun In The Summertime」の頃のファミリー・ストーン・サウンドの「Somebody's Watching You(full band version)」、ややテンポを落とした「You're The One(early version)」もいい。
ジョー・ヒックスの3曲はいずれもシングル曲。初期のスライっぽいファンキーなジャンプ・ナンバー「Home Sweet Home(Part 2)」「I'm Goin' Home(Part 1)」、クールなスロー・ファンク・チューン「Life & Death In G & A(Parts1&2)」。
6IXは最多の6曲。骨太なリズム・ボックスがゴリゴリ押す「I'm Just Like You」、『Life』収録曲を『暴動』仕様でカバーした「Dynamite」の2曲がシングル曲。リズム・ボックス無しのスロー・ファンク「Trying To Make You Feel」、ロックっぽい「You Can,We Can」、なかなかカッコいいファンクの「I'm Just Like You(full band version)」なども面白い。
そして、最も興味深いスライ名義の曲は4曲収録されているが、「Just Like A Baby」「Africa」は『暴動』収録曲のデモ・テイク。正規版よりややテンポが早い「Just Like A Baby」は、ボビー・ウーマックのブルージーなギターと声が入っていない分、より浮遊感が増している。「Africa」は正規版よりもリズム・ボックスが強調されたインスト。残る2曲「Spirit」「Scared」も、濁ってモコモコしたあのサウンドだ。