zapp
Zapp
 Warner '80

記念すべきザップのメジャー・デビュー・アルバム。
河地本によると、ブーツィーが同郷のロジャーをクリントンに紹介し、クリントンがワーナーとの契約を取り付けたのだが、この時クリントンはロジャーにPファンク流ビジネス術を入れ知恵し、ワーナーとはザップ名義で契約させ、クリントンが設立したレーベルであるアンクル・ジャムからロジャーのソロをリリースするよう画策する。結果的には、クリントンはロジャーに逃げられ、アンクル・ジャムは僅かアルバム2枚(スウェット・バンドとフィリップ・ウィンのソロ)で頓挫するのだが、この時の財政的なダメージがPファンク軍団が80年代に瓦解していった原因のひとつとなったと思われる。
このアルバムはまだロジャーとクリントンの関係が良好だった頃と思われ、ロジャーとブーツィーが共同プロデュース、スペシャル・サンクスの筆頭にクリントンの名がクレジットされている。ザップ/ロジャーのスタイルは、翌年のソロ1st『Many Facets Of Roger』を経て、82年の『Zapp Ⅱ』で完成を見るが、この1stではロジャー流ファンクと地元オハイオ色が歪に混ざり合って、独特の異様で不穏なムードを醸成している。ちなみにトークボックス使用は控え目、Pファンクっぽさはあまり感じられない。
何と言っても白眉は大ヒットした「More Bounce To The Ounce」。不気味なまでのクールさ、肉感的なトークボックスの響き、強力なグルーヴとファンキーなカッティング、半生エレクトロなファンク・サウンドは確実に新しかったに違いない。やはりこの曲が突出していて、その他の曲は過渡期ならではの混沌とした雰囲気があるが、決して無視できない佳曲ばかり。70年代後半のヒューマン・ボディ時代の曲を再演した「Freedom」、比較的Pファンク寄りの「Brand New PPlayer」、後のスタイルを予感させるバウンシーな「Funky Bounce」、人気のメロウなミディアム・スロウ「Be Alright」、ラストはカントリー・ブルース調の「Coming Home」。