P Is The Funk/George Clinton & The P-Funk All Stars
P-Vine '93
このシリーズ、顔見せ的な1作目、グッとクオリティが上がった2作目に続き、この3作目は更に良い曲が揃っている。この後の4~5作目も概ねコレと同程度のクオリティなのだから畏れ入る。
1曲目のファンカデリック「Clone Comunicado」はマザーシップ・コネクションツアーのプログラムのおまけのソノシートの音源らしいが、これはエディ・ヘイゼル「What About It?」にアーチー・アイヴィのクリントン風語りを乗せたもの。パーラメント名義の2曲、「Does Disc With Dat(Simon Says)」と「Every Booty(Get On Down)」は共に79年の録音で、前者は『Gloryhallastoopid』に入っていてもおかしくない出来の典型的なPファンク・チューン。後者は実質ラバー・バンドによるブーツィー色濃いコレも傑作ファンク。クリントンの末弟、ジミー・Gの81年作「Shove On」と、80年のロン・フォード「Rock Jam」はエレクトリックな質感の似た雰囲気のファンクで、これらもなかなかいい。ロン・フォードはもう1曲「Bubble Gum Gangster」があるが、これはブヨブヨしたシンセが相当にデイヴィッド・スプラドリー色の濃い曲。ブライズ「Love Is Something」は77年録音なので、『Funk Or Walk』から漏れた曲だろうか。しかしこれがまた良い曲で、ねっとりとした哀愁ミディアム・ソウルはブライズのカラーに合っている。クリントンの息子、トレイシーによるトレイリュード名義「Personal Problems」は81年作。トレイシーの他、アンドレ・ウィリアムス(フォックス)、スティーヴ・パネルらPファンク第3世代による演奏。非常に個性的でユニークな曲で、後のソロ・アルバム『Drop The Line』にもこのクラスの曲が欲しかったところ。ジェローム・アリ&ジミー・アリの80年作「She's Crazy」は異色のロック~フュージョン調インスト。パーレット&ブライズという有りそうで無かった組み合わせの「Think Right」は80年録音なので、どちらのグループも第2期メンバーの総勢6人ということになるか。ロン・フォードの分かってらっしゃるプロデュース手腕が光る、お姐さま方の貫禄のヴォーカル・ワークがカッコいいミドル。ファンカデリック「In The Cabin Of My Uncle Jam(P Is The Funk)」は76年となっているが、タイトルからするとどう考えても79年頃なのだが、どうなのだろう。79年だとしたらグレンやエディ、ティキのクレジットは間違いということになるが。曲はジャムっぽいラフなノリで、未完成ながらもカッコいいファンク・チューンだ。ラストはジェシカ・クリーヴスによるポール・マッカートニー「My Love」のカバーで、面白くも何ともない曲だが、この曲を入れたのはクリントン一流のシャレだろうか。
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