live in oslo
Live In Oslo/D'angelo
 Eurostar '12

2000年のヴードゥー・ツアー、ストックホルムでのライヴ音源は、『Live At Cirkus』のタイトルでブートが出回っていたが、どういうわけか2012年になって『Live In Oslo』という有り得ないタイトルで一般流通。ジャケ写も2012年の復活欧州ツアーのもだし、これを正規リリースと言ってしまうのは憚られるが、この素晴らしいライヴ盤を普通に購入できるのは喜ばしいこと。
当時、史上最強のファンク・バンドとも言われたソウルトロニクス。さすがにそれは言い過ぎだとは思うが、JBやプリンスのステージングを受け継いだような一大ファンク・ショウを繰り広げる。この時のツアーのメンバーは、クエストラヴ、ピノ・パラディーノ、ロイ・ハーグローヴ、ジェイムス・ポイザー、ジェフ・リー・ジョンソン、スパンキー・アルフォード、メジャー・デビュー前のアンソニー・ハミルトン、後に殿下とも絡むシェルビー・ジョンソン、そしてフランキー・ナックルズ(!)という超豪華布陣。こんなアクの強すぎる面子をディアンジェロは完璧にコントロール、どの曲もファンク度濃厚で凄まじい2CD。
ディスク1のオープニングは「Devil's Pie」。そこから「Soultronic」「Gettin' Ready」とファンク・チューンを繋いでいく。人気のスロウ「Send It On」、大音量のハンド・クラップがビートを補強し、スタジオ録音版よりもファンク・アップした「Feel Like Making Love」、「Chicken Grease」「Me And Those Dreamin' Eyes Of Mine」「Shit,Damn,Motherfucker」と前半から人気曲を惜し気もなく披露。
ディスク2は更にファンキー。トラブル・ファンク「Drop The Bomb」を参照したGo-Go調「Sardines」、「Left & Right」ではファンカデリック「Good To Your Earhole」のフレーズを交えつつ大ファンク大会に突入。いきなりホーン・セクションが爆発する「Brown Sugar」は、途中からミニー・リパートン「Baby,This Love I Have」のベース・ラインとアヴェレージ・ホワイト・バンド「Live Your Life」のホーン・アレンジで進行する、ATCQ「Check The Rhyme」を意識した展開。そう言えば先日のアポロでのライヴでも、ホーニー・ホーンズ「Four Play」を下敷きにしたヘヴィー・ファンクな「Brown Sugar」をやっていたが、これもギャングスター「Step In The Arena」へのオマージュのようにも聴こえた。こういったヒップホップ的な感覚を持ち込んでくるところが面白い。
続く「Lady」はピノがスレイヴのマーク・アダムスを彷彿とさせる鋼のファンク・ベースでグルーヴを引っ張る。そこから怒涛のファンク・ジャム「Jam Jammin'」へと雪崩れ込む。アース「Shining Star」のホーン・アレンジ、プリンス「1999」のカッティング、メイシオ風サックス・ソロ、JB「I Don't Want Nobody To Give Me Nothing」などを盛り込む一大ファンク・レヴュー。これは激熱。史上最強のファンク・バンドとの評価も頷ける。ラストは静かにクール・ダウンするような「Untitled(How Does It Feel)」で幕。