pieces of a man
Pieces Of A Man/Gil Scott-Heron
 Flying Dutchman '71

ギル・スコット・ヘロンのフライング・ダッチマンからの2作目。パーカッションに乗せて自作の詩をリーディングしたという前作は未聴だが、本作は盟友ブライアン・ジャクソンの他、バーナード・パーディー、ロン・カーター、ヒューバート・ロウズなど、ジャズ~ソウル/ファンク方面の腕利きがバックアップ。同時代のニュー・ソウルとの親和性も高い、柔らかいグルーヴに乗せて、リーディングではなく歌っている。彼の歌は上手くはないが、声質自体に魅力があり、その歌い口には説得力がある。
「The Revolution Will Not Be Televised」は、パーディーのドラムスとカーターのベースが繰り出す黒いグルーヴに、妖しげなロウズのフルートが纏わりつく。告発調のポエトリー・リーディングも刺激的。「Save The Children」は柔らかいフルートがさえずるメロウ・ソウル。「Lady Day And John Coltrane」はエレピが走るグルーヴィーなジャズ・ファンク。「Home Is Where The Hatred Is」は緊張感漲る代表曲。「When You Are Where You Are」はグルーヴィーに疾走するジャジー・ソウル。「I Think I'll Call It Morning」は、カーテンの隙間から差し込む朝陽のような、爽やかでメロウな曲。B面はよりジャズ色濃く、「Pieces Of A Man」はウッド・ベースが重厚に響く静謐なスロウ。9分超の「The Prisoner」はかなりダークで重い一曲。
BGPの2014年再発盤には3曲ボーナス・トラックを追加。ブラック&ブルースというバンドを従えての演奏で、ここれがなかなかいい。ヴィクター・ブラウンがヴォーカルを取っていることから、このブラック&ブルースが後のミッドナイト・バンドへと発展していったものと思われる。