america eats its young
America Eats Its Young / Funkadelic
 Westbound '72 

『Maggot Brain』リリース後に、待遇に不満を募らせたエディー・エイゼル、ビリー・ネルソン、ティキ・フルウッド、タウル・ロスがファンカデリックを去り、クリントンのもとに残ったのはバーニー・ウォーレルただ1人となってしまった。
そんな状況でも、クリントンの創作意欲は衰えることを知らず、続く4thアルバム『America Eats Its Young』は2枚組大作となった。本作では、バーニーを軸に、ファンカデリック・フォロワーのバンド、U.S.(ユナイティッド・ソウル)のゲイリー・シャイダー、コーデル・モッソンらを起用。また、1曲のみのお試しだが、ブーツィーとキャットフィッシュのコリンズ兄弟が初参加。本作での布陣が、これ以降70年代を通してパーラメント/ファンカデリックの主要メンバーとなっていく。

本作は、おそらくソウル耳には最もハードルの高いファンカデリックのアルバムのひとつであり、それゆえ過小評価されてきた作品。『Maggot Brain』のような分かりやすい突出性はなく、それまでのハードなファンク・ロック・サウンドから、やや軽いが奇妙に捻じれたグルーヴへと移行している。2枚組の大ヴォリュームの中に、多様な楽曲が混沌と混在している。本作を聴き通すには気力と体力を要するが、魅力的な楽曲や実験的な試みも多く、いろいろと発見の多い作品。

サイケでぐるんぐるんに音が渦巻くパートと、呑気なカントリー調のパートの2部構成となる「You Hit The Nail On The Head」、女声コーラスがメインでストリングスが施されたサイケでポップな「If You Don't Like The Effects, Don't Produce The Cause」の頭2曲で、これまでのファンカデリックとの違いは明らか。
ファンク・ナンバーでは、バーニーのクラヴィネットがギトギトと粘りつく「A Joyful Process」と、悪臭を撒き散らすヘヴィーなブギー「Loose Booty」が格別。ブーツィーがベース&ヴォーカルでカッ飛ばすファンク・ロック「Philmore」は、まだ後のブーツィーのスタイルは確立されていないが、コレはコレでカッコいい。

パーラメント『Osmium』収録曲を焼き直したサイケデリック・ファンク・ロック「I Call My Baby Pussycat」、ギターがすすり泣く「America Eats Its Young」は従来のファンカデリックの色を残しているが、郷愁を誘うポピュラー調バラード「Everybody Is Going To Make It This Time」、クリントンの情けな唱法が切な過ぎるスロウ「We Hurt Too」、ポップなメロディーに乗ってパーカッシヴに弾む「Biological Speculation」、66年のパーラメンツ名義のシングルを焼き直しとなる、ひねくれポップの「That Was My Girl」なんかは新機軸。

アルバムの終盤3曲はロックな曲が並ぶ。勢いで押す「Balance」は、曲後半にスライ「Stand!」を彷彿とさせる展開を挟む。「Miss Lucifer's Love」はサイケデリックなギターがビートルズ的な迷宮感覚を想起させる。ラストの「Wake Up」もスライっぽいが、『Dance To The Music』『Life』あたりの無邪気ではっちゃけたノリを感じさせる。