hot spot
Hot Spot/Royal Flush
 GEC '80

超マイナーなファンク・バンドによる、知られざるカルト・ファンク・アルバム。
他のファンク・アクトからの引用もあちこちに窺える、B級とも言えないようなチープでイナタいプロダクションながら、これが不気味で異様な迫力を醸しているのだから面白い。シンセを多用しながらも、エレクトリックな感触にはならず、あまりの垢抜けなさのせいで返って生々しいグルーヴを生んでいる。ナスティな女性ヴォーカルも、いかがわしいパーティー感を盛り上げていて良し。
まずは何と言っても、冒頭の「Grab Your Sexy Baby」の仰け反ること請け合い。プリンス「Sexy Dancer」にあまりに酷似(Pヴァインの再発CDのライナーにはキャメオ「Throw It Down」に酷似と書いてあるが、そうじゃないだろと思う)。「Sexy Dancer」は猥雑でスタイリッシュなファンク・ダンサーだが、こちらはスタイリッシュさの欠片もない猥雑度増幅のファンク・チューン。でも、コレはコレでカッコいいんだからしょうがない。ナスティ・ファンク極まる「Hot Spot」も強力。シンセの響きもいちいち下世話なエロさを表出。アタマの「We Will Rock You」なハンド・クラップからヤッてくれる「Doin' It To Deaf」は、向う見ずなへヴィ・ファンクを叩きつけてくる。「Funk Power」は本作中最も完成度が高く、骨太なベース・ラインが腰にくるミッド・ファンク。途中、ホーニー・ホーンズ「Between Two Sheets」みたいなフレーズも出てくる。
Pヴァイン盤には4曲ボーナス・トラックが追加されているが、やや後年の録音らしく、本編よりも更に荒っぽい感じで特筆すべき出来でもないが、80年代のB級ファンクが好きならそれなりに楽しめる。