new world order
New World Order/Curtis Mayfield
 WEA '96

ステージでの照明落下事故から奇跡の復活を遂げたカムバック作、にして結果的に遺作となったアルバム。
半身麻痺の車椅子生活を余儀なくされ、以前のようにギターを弾くことも、歌うことさえ叶わない、そんな苦境に身を置きながらこれほどのアルバムを創り上げたカーティスの気力の凄さ。そして、オーガナイズド・ノイズ、ナラダ・マイケル・ウォルデン、ロジャーらプロデューサー陣の渾身の仕事ぶり、アレサ・フランクリン、メイヴィス・ステイプルズら、かつて共に仕事をした盟友らもゲストとしてバック・アップ。涙無くして聴き通すことなどできない、カーティスにとって75年『There's No Place Like America Today』以来の大傑作。
アルバム・オープニングの、当てどなく漂うワウ・ギターが往時を偲ばせる、じっとりウネるリズムのタイトル曲「New World Order」から、もう名盤の予感。この曲がカーティス自身のプロデュースだというのも素晴らしい。
外部プロデューサーで目立つのは、やはりオーガナイズド・ノイズ。硬質でタイトなドラムスとベースが隙間を生かしたグルーヴを繰り出す、メイヴィス参加のスロー・ファンク「Ms.Martha」、ブルージーで埃っぽく乾いたグルーヴの「Here But I'm Gone」と、いずれも彼らのベスト・ワークと言える仕事っぷりで、自らカーティスの音楽の後継者であることを示しているかのようだ。
ナラダ制作曲では、アレサがカーティスを盛り立てるミディアム「Back To Living Again」が号泣必至の超名曲。陽気なミディアム・アップ「The Got Dang Song」、ミディアム・スロウ・ジャム「Oh So Beautiful」と、素晴らしいプロデュース・ワーク。ナラダには、安っぽいポップ・ソングをつくる商業プロデューサーというイメージを持っていたが、ここではその印象を覆す職人肌の良質な仕事を見せる。
ダリル・シモンズの「No One Knows About A Good Thing(You Don't Have To Cry)」は艶っぽいR&Bスムーヴ。ロジャー&テリー・トラウトマンの、「We People Who Are Darker Than Blue」のセルフ・カバーは、浮遊するザップ・サウンドにトーク・ボックスが薄っすらと広がる斬新な解釈。「It Was Love That We Needed」もセルフ・カバーだが、トーク・ボックスは控え目でワウ・ギターがたっぷり入って、よりカーティスらしい仕上がり。
その他はカーティス・プロデュース作。「Just A Little Bit Of Love」は、今聴くとやや古臭く感じるR&Bトラックだが、当時のメイン・ストリームに食い込まんとする現役感に敬服する。サンドラ・セイント・ヴィクターとデュエットする「I Believe In You」は、あの「So In Love」を彷彿とさせる名スロウ。インプレッションズ時代のカバー「The Girl I Find Stays On My Mind」は、カーティスらしいギター・ワーク(もちろんカーティス自身が弾いているわけではないけど)と、ピアノの音も美しいバラード。テンダーな雰囲気の「Let's Not Forget」も素晴らしい。