ordinary stories
Ordinary Story/Kipper Jones
 Virgin '90

80年代に3枚のアルバムを残すファンク・バンド、ティーズのヴォーカルだったキッパー・ジョーンズが放ったソロ・デビュー作。主にキッパー自身がプロデュースし、チャッキー・ブッカーやキース・クラウチの助力を仰いで制作されたサウンドは、当時全盛を迎えていたニュー・ジャック・スウィングや日の出の勢いのヒップホップを巧みに取り入れながら、生音と打ち込みをうまくミックスしたオーセンティックなファンク/ソウル・サウンドになっているのが素晴らしい。リアル・タイムで愛聴していたアルバムだが、今の耳にも痛くない傑作。
まず「Shock Wave」「Carry On...」のファンク2連発が圧巻。クールに抑制された「Shock Wave」、JBやスライ、Pファンク、オハイオ・プレイヤーズ、ロジャーといった先達を讃えるファンク賛歌「Carry On...」、今聴いても十分にカッコいい。「Carry On...」の最後にアイズレーの名を挙げた後にスムーズに繋がる「Footsteps In The Dark」はご存知メロウ・アイズレーの代表曲。この曲や、同じく「Footsteps In The Dark」使いのアイス・キューブ「It Was A Good Day」、「Between The Sheets」ネタのATCQ「Bonita Applebum(Hootie Mix)」あたりが契機となって、当時アイズレー再評価の機運が高まっていったように記憶している。
ヒップホップ的なザラつきが美味しいファンク「Ordinary Story(Pt.1)」もいい。ニュー・ジャック調ファンクの「Cut Me No Slack!(Ordinary Story Pt.2)」、ガイの1stのB面に入ってそうなニュー・ジャックR&B「Trust」、オルガンの響きがイナタいポップR&B「Watch Over Me」あたりもなかなか。「Poor Elaine」「Consider Me Yours」の濡れたバラードも聴かせる。ヒップ・ハウス調の「My House」はさすがに経年劣化に耐えられていないが、この際ソコは目を瞑ろう。