urban hang suite
Maxwell's Urban Hang Suite/Maxwell
 Columbia '96

これはリリース当時聴きまくった1枚。
ディアンジェロと並ぶニュー・クラシック・ソウルの旗手、マックスウェルの処女作。
ディアンジェロやエリック・べネイらが70年代ソウルの感触だとすると、マックスウェルの音楽はそれよりももう少し後、70年代末~80年代前半頃の雰囲気。ヒップホップを通過した形跡がないのも特徴。ワーワー・ワトソンやアンプ・フィドラー、スチュアート・マシューマンらを擁し、腰の深い人力グルーヴと、アーバンでメロウなクワイエット・ストームを提示。このアルバム以降は個人的な興味は薄れてしまっていたが、2009年の復帰作『BLACKsummer'snight』は久々の快作。だが、やはりこの『Urban Hang Suite』が一番思い入れ深い。
ジャズ・ファンク・テイストのインスト「The Urban Theme」、ジワジワとウネるミッドナイト・グルーヴ「Welcome」、レオン・ウェアと共作したミドル「Sumthin' Sumthin'」と、アルバム冒頭からアーバン・グルーヴの波が押し寄せる。レオン絡みということもあってか、マーヴィン『I Want You』から『Here,My Dear』『In Our Lifetime』あたりを彷彿とさせるサウンド。「Accension(Don't Ever Wonder)」は「Sexual Healing」以降、82~83年頃のムード。「Dancewitme」はタイトルからするとルーファスみたいだけど、へヴィーなベースのスレイヴ的なクール・ファンク・チューン。
シングル・ヒットした「...Til The Cops Come Knockin'」以降は、メロメロ、トロトロの徹底したメロウ・スロウ浸け。ファルセットから主体のマックスウェルのヴォーカルは、どこかプリンスっぽくもある。アコギ弾き語りスロウ「Whenever Wherever Whatever」、「Lonely's The Only Company」「Reunion」は夜の静寂に佇むスロウ・ジャム。「Suitelady(The Proposal Jam)」は地声で熱く歌い上げる。ラストは1曲目と対になるようなジャジーな「The Suite Theme」。