trick bag
Trick Bag/The Meters
 Reprise '76

ミーターズ通算7作目は、いわく付きの問題作。
マネージャーのマーシャル・シホーンがバンドのリハーサル・テープを勝手にリリースしようと画策、メンバーは企みに気付いたもののリリースを止められず、数曲録り直すので精一杯、というのが通説。この一件でシホーンやアラン・トゥーサンとの確執、メンバー間の不信や方向性の違いが浮き彫りとなり、バンドは次作『New Direction』を最期に解散してしまう。
そんな背景を持つこのアルバム、やはりミーターズのオリジナル・アルバムの中では一番落ちる。『Rejuvenation』『Fire On The Bayou』とファンク名盤を連発した後だけに、その落差は大きい。「Just Kissed My Baby」や「Love Slip Upon Ya」のような強力なファンク・チューンが見当たらないのは痛い。また、時節柄かディスコ方面への目配せや、既に兆しが見られていたフュージョン志向などが、アルバムの印象を散漫なものにしている。かと言って、このアルバムを無視していいわけでもなく、リラックスした風情のジャムや、軽めのファンク・チューンは、ファンならそれなりに楽しめる。
アルバムの冒頭「Disco Is The Thing Today」が、いきなりのディスコで面喰うが、ここで挫けてはいけない。まったりミディアムの「Find Yourself」、軽めのフュージョン「Suite For 20 G」、ミーターズらしい粘り気を残したミッド・ファンク「(Doodle Loop)The World Is A Little Bit Under The Weather」、気持ちよくピアノが転がるアール・キングのカバー「Trick Bag」、ほのかに哀愁漂う「Mister Moon」、タメを効かすセカンドライン「Chug-A-Lug」、グルーヴィーなインスト「Hnag 'Em High」、土臭いストーンズのカバー「Honky Tonk Woman」など、バンド(と言うか、おそらくノセンテリ)が、いろいろ試して音楽性の幅を拡げて行こうとしていたことが分かる。