love in stereo
Love In Stereo/Rahsaan Patterson
 MCA '99

90年代後半デビュー組のニュー・クラシック・ソウル勢のなかでも、最もコンスタントに良作をリリースし続けたラサーン・パターソン。個人的にフォローしていたのは4thアルバム辺りまでで、ここ数年の作品はチェック出来ていないのだが、この2nd『Love In Stereo』は当時本当によく聴いたアルバム。
レス・ピアスのプロデュースによる1曲目「Treat You Like A Queen」こそ当時の主流派R&Bだが、2曲目のスロー・ファンク「Sure Boy」で早くもファンク魂爆発。この曲はヴァン・ハントのプロデュースだが、汚れたワウ・ギターがグシャグシャと蠕動するようなスライ譲りのスロー・ファンクが強力。ハントは2004年のソロ・デビュー・アルバムで、この曲をプリンス風に改変した「Hello Goodbye」という曲をやってたりする。ハントのプロデュース作は他に、ブーツィーズ・ラバー・バンド「Physical Love」をサンプリングしたミッド・ファンク「The Moment」、スティーヴィー黄金期を思わせる「Friend Of Mine」、重いベース・ラインにまたもスライ調ワウ・ギターとホーン・アレンジのファンク・チューン「Humor」と、当時まだ駆け出しの無名アーティスト/プロデューサーとは思えない素晴らしい仕事っぷり。
デビュー・アルバムのメイン・プロデューサー、ジェイミー・ジャズはここでも最多の5曲をプロデュース。ウネるムーグがグルーヴを牽引するファンク「The Day」、美麗なクワイエット・スロウ「It's Alright Now」、ギターの音がカートムっぽいほんわかミディアム「Any Other Love」、スティーヴィー調のシャッフル「So Right」など、こちらもラサーンとの相性の良さを見せつける。
そんな濃い楽曲群のなか、クールなビートの上をラサーンのファルセットが浮遊するミドル・チューン、スティーヴ・シルク・ハーレー制作の「Get Here」が異彩を放つ。ラサーンはファルセット、地声ともにプリンスからの影響大だが、この曲では殿下を通り越してメロウ系女性シンガーのようなニュアンスだ。日本盤ボーナス・トラックのブロウ・モンキーズ「Digging Your Scene」のカバーは、清涼感たっぷりのアップで、どうせなら日本盤を買った方がいい。