say it live and loud
Say It Live And Loud  Live In Dallas 08.26.68/James Brown
 Polygram '98

このアルバムは、タイトルにあるとおり68年8月ダラスでのJBのライヴ音源を、98年になって発掘リリースしたもの。
時系列を追うと、定番ライヴ・アルバム『Live At The Apollo Vol.Ⅱ』が67年6月の録音、『Sex Machine』の後半部分が69年10月の録音なので、本作はこの間となる。60年代末にかけてのJBは、ファンク革命の完遂に向けて急激にギアを上げていった頃で、録音が1年も違うと結構印象が異なる。このアルバムはアポロよりもずっとファンキーだし、ミキシングの問題か妙にクールな感触の『Sex Machine』よりもエネルギッシュで熱い。
JBを支えるバンドは、いわゆるオーケストラの頃で、この面子によるファンクとしてはほぼ完成の域に到達している。とにかく、テンション漲るファンク・グルーヴをこれでもかと放り込んでくるのだから、これは堪らない。ショウはメイシオのイントロダクションに続いて「If I Ruled The World」からスタート。当時の最新ヒット「Say It Loud-I'm Black And I'm Pround」で聴衆をアジテイトするJB。バラードの「I Guess I'll Have To Cry,Cry,Cry」に続いて、スウィングしまくる「Kansas City」はキレッキレのダンスを披露するJBの姿が目に浮かぶよう。
と、ここでショウは一旦ブレイク。JBは袖に引っ込んで、バンドのみで3曲やるのだが、これがまたいい。颯爽と飛ばす「Suds」、ぐるんぐるんにトグロ巻くベースが強力な「Soul Pride」、メイシオがMC&歌で煽る「Tighten Up」のカバーは、クライドのファンキー・ドラマーっぷりが炸裂。
JBが再び登場し第2幕のスタートは「Licking Stick-Licking Stick」。オリジナルよりも早いテンポでカッ飛ばし、ジミー・ノーランのカッティングが冴えわたる。12分超の「Cold Sweat」は、リズム隊がグリグリと繰り出すグルーヴがどエラいファンク。途中のドラム・ソロとか凄まじい殺気でビビる。JBが「Soul Man」や「Ride Your Pony」のフレーズを挟んで「There Was A Time」へと雪崩れ込む。ヅッツクヅッツク刻むカッティング、ゴリゴリ押しまくる重戦車ファンク・グルーヴに轢き殺されそう。この「Licking Stick」から「There Was A Time」までの3曲がこの盤のハイライトだ。
「Try Me」他定番バラードをメドレーで繋いだ後は、「Papa's Got A Brand New Bag」「I Got The Feeling」「Maybe The Last Time」「I Got You(I Feel Good)」「Please,Please,Please」「I Can't Myself(When You Touch Me)」と、短くカットしながら矢継早にヒット曲を連打。ジェットコースターのようなスピード感であっという間にエンディングまで突っ走る。最後は再び「Say It Loud,I'm Black And I'm Proud」、聴衆の熱狂のなか燃え尽きるように大団円。