its your world
It's Your World/Gil Scott-Heron & Brian Jackson
 Arista '76 

ギル・スコット・ヘロンの代表作と言えば、このライヴ盤『It's Your World』で決まり。
全10曲中、頭3曲と最後の曲がスタジオ録音の新曲という変則ライヴ・アルバムだが、スタジオ録音曲にも非常に生々しいグルーヴが宿っており、ライヴ部分との録音レベルの差がほとんど感じられないため、1枚通してライヴ盤を聴いているかのような纏まりがある。ミッドナイト・バンドとの連携も非常に緊密、バンド・サウンドとしては本作を頂点に、次作『Bridges』以降はミッドナイト・バンドは緩やかに解体していき、特徴的であったラテン・テイストも希薄になっていく。
アルバムはジャズ・ファンク・クラシック「It's Your World」からスタート、アフロな臭いも漂ってくるクールなミドル・グルーヴ「Possum Slim」、都市生活の厳しさを歌ったジャズ・ナンバー「New York City」は、途中サルサへと展開する。ここまでの3曲がスタジオ録音。
ライヴ・パートのスタートとなる「17th Street」は、メロウなフルートの囀り、土臭いパーカッションの刻み、濡れたエレピの音が気持ちいいラテン・ジャズ・グルーヴ。サックスのブロウとギルの歌が熱いシャッフル「Trane」、スローなリズムに乗せて肉声を重ねるラテン・ジャズ「Must Be Something」と、ジャズ/ラテン/ファンク/ソウルのハイブリッドの連打。ここからがライヴの佳境で、「Home Is Where The Hatred Is」はグルーヴとリズムが交錯し走り抜けるジャズ・ファンク・クラシック。ポエトリー・リーディングの「Bicentennial Blues」を挟んで、「The Bottle」へ。エレピ、パーカス、フルート、ベースと入ってくるイントロからゾクゾクする、グルーヴィーに疾走するジャズ・ファンク。途中のティンバレスとコンガのソロなど、打楽器打ち込みまくりのトライバルな大クラシック。ラストはスタジオ録音の「Sharing」。ヴィクター・ブラウンがリードを取る静謐なジャズ・バラード。