girls
Girls/General Caine
 Tabu '82 

ジェネラル・ケインのタブー移籍第1弾となる3rdアルバム『Girls』。もとより、Pファンクを範とするヘヴィー・ファンクを身上とするバンドだが、サウンド的にも人脈的にも最もPファンクに接近したのが本作。
当時は、クリントンが求心力を失いPファンク軍団が解党的出直しを図っていた頃。ブーツィーやジュニーはクリントンと付かず離れず適度な距離を取り、バーニーは袂を分かちロック・フィールドへと広くクロス・オーバーしていったが、この時、フレッド・ウェズリー、メイシオ・パーカー、レイ・デイヴィス、ドーン・シルヴァなど、残党の多くを取り込んでいったのがジェネラル・ケイン。70年代半ばにクリントンがブーツィー、フレッド、メイシオらJB一派を取り込んで一気に勢力拡大を遂げたように、ジェネラル・ケインはPファンク人脈を取り込み格段のスケール・アップを果たした。ジェネラル・ケインのリーダー、ミッチ・マクドウェルは80年代ファンク王位の座をPファンクから継承しようと目論んだに違いない。
本作『Girls』は、フレッドがアレンジを一手に担い、レイ・デイヴィスが黄金のベース・ヴォイスを随所で轟かせるなど、Pファンク・マナー剥き出し。80年代のどのPファンク作品よりも、実にPファンクらしい大傑作に仕上がった。シンセ・ベースがズブズブ沈み込むへヴィー・ファンク「The Girls」は、レイ・デイヴィスの低音も相俟ってPファンク色濃厚。レイ・デイヴィスの低音ヴォイスはパーラメントの時以上に大きくフィーチャーされていて、猥雑なムードが最高な「Can We Warm It Up」、トーク・ボックスまで動員し、リック・ジェイムス「Super Freak」、ロジャー「I Heard It Through The Grapevine」「So Ruff,So Tuff」のフレーズも飛び出す「It's Gettin' Deep」、ゴリゴリと重心低く迫る「Wait At The Mountain」など、強く印象に残る仕事っぷり。ホーン・セクションを前面に立てた「Knock Down The Walls」では、メイシオのソロも聴ける。キャメオっぽいミッド・ファンク「Don't Stop」、タイトな「Baseball」、クラップ音とカッティングがクールな「Momie Dear」と、ファンク・ナンバーは恐ろしいほどの充実ぶり。唯一のスロウ、ねっとり濃密な黒汁滴る「For Lovers Only」も絶品。