condensate
Condensate/The Original 7ven
 Saguaro Road '11 

90年の『Pandemonium』以来、21年ぶりとなるザ・タイム改めオリジナル・セヴンの5thアルバム。
オリジナル・セブンという名前のとおり、あのオリジナル・メンバー7人が集結(本当はジェローム・ベントンは違うけど)。この間、メンバーはそれぞれに活動。80年代後半に一世を風靡したジャム&ルイスは90年代以降も、ニュー・クラシック・ソウルのはしりとなった4人組、Soloを送り出すなどの成果があるが、徐々に仕事量が減り第一線から遠ざかっていった。今ではディアンジェロのギターの師匠として存在感を発揮しているジェシー・ジョンソンも、自身のソロ活動は地道に続けるもほとんど注目されることはなかった。才覚に秀でたこの2組でさえ不遇の時代を過ごしてきたわけで、その他のメンバーの状況は厳しいものがあったと思われるが、そんな中、モーリス・デイはザ・タイムの金看板を守ってライヴ活動を続けてきたようだ。バンド名を変えたのは、プリンスがザ・タイム名義の使用を許可しなかったからという、殿下らしいオトナげなさが発揮されたようだが、その為本作は初めて、プリンスが一切関与しないザ・タイムのアルバムとなった。そもそもプリンスの傀儡としてスタートしたバンド。初期のアルバム制作はそのほとんどをプリンスが行い、『Pandemonium』にしても半数の曲はプリンスが演奏していると思われ(『Graffiti Bridge』収録のザ・タイム名義の曲はおそらくすべてプリンス制作)、本作でようやく自分達主導による作品をリリースできたわけで、謂わば81年のデビュー以来30年越しの本当の意味でのバンドの1stアルバムと言えるのかも。
彼らの最高傑作は、個人的な思い入れもあって『Pandemonium』だと思っているが、本作はそれに肉薄する素晴らしい出来。何と言っても、かつてのあのザ・タイムのサウンドが、古びることなくフレッシュに再現されているのが嬉しい。アルバムは、『Pandemonium』のエンディングと同じ虫の音と車のエンジン音からスタート、21年の時間を一気に飛び越え、前作からの連続性を持たせる粋な演出。スライ「Everyday People」みたいなメロディの「Strawberry Lake」から往年のザ・タイムのサウンドが甦る。タイトル曲「Codensate」はドラムスとベースがへヴィーにウネるファンク・チューン。80年代ミネアポリス・サウンドに塗れる「♯Trendin」、モーリスに呼び込まれジェリービーンのドラムスから入る「If I Was Yo Man」はダンサブルなナンバー。ゴツいスロー・ファンク「Role Play」、待ってました!のジェシーのギターが炸裂するブラック・ロック・チューン「Sick」、音数を絞ってストイックにファンクする「Cadillac」、ルーズなファンク・ロック「AYDKMN」はジェシーのギターがエッジを刻み付ける。ドンパンドンパンの2ビートの嬉し恥ずかしオールド・ミネアポリス・スタイル「One Step」、疾走する80’s青春ポップ・ロック「Toast To The Party Girl」「Hey Yo」と、40代以上のオールド・ファンは確実に盛り上がる展開。ラストはこれも往年のジゴロなバラードを彷彿とさせるスロウ「Gohometoyoman」で、最後はアルバム冒頭と同じエンジン音でシメられ、次作への繋がりを期待させるが。
このアルバムを引っ提げたツアー中に、早々にジェシーが脱退(直後にディアンジェロの復活欧州ツアーに参加)、オリジナルの7人で無くなってしまったバンドの現状はよく分からない。このアルバムの続きが聴ける日は来るのだろうか。