saga continues
The Saga Continues.../Roger
 Warner '84 

ロジャーのソロ2作目、ザップ名義も含めると5作目となるアルバム。
70年代末のディスコ禍により、一時は絶滅寸前にまで追いやられたファンク・ミュージックだが、80年代に入るとディスコは衰退し、またぞろ大所帯のファンク・バンドが雨後の筍のごとく全米各地から出現し始める。しかし、ファンク復活も束の間、デジタル機材、スタジオ・テクノロジーの急速な発達により、労働生産性に劣るファンク・バンドは82~83年の間に急激に淘汰されてしまう。ロジャーの本作がリリースされた84年は、ファンクの残り火の最後の燃えカスがわずかに残っていた程度で、ファンクはほぼ死に体となり、入れ替わるようにヒップホップが新しいストリートの音楽として台頭することとなる。ザップ/ロジャーにしても、生ドラムが入っているのは本作までで、85年の次作『New Zapp 4 U』以降はドラム・マシンを使っている。
本作はそれまでのザップ/ロジャーのアルバムと比べると、ファンクはやや少なめだが、切れ味鋭いソリッドなファンク・ダンサー「In The Mix」「Girl,Cut It Out」など、流石の仕上がり。なかでも、ウィルソン・ピケットであまりにも有名な「Midnight Hour」のカバーは、マイティ・クラウズ・オブ・ジョイの分厚いコーラスを従えロジャーのトーク・ボックスが轟くゴスペル・ファンクで、コレは痺れるカッコよさ。
その他、毎度お約束のジャズ/フュージョン調「Play Your Guitar,Brother Roger」「T.C.Song」、ブルージーな「Bucket Of Blood」も安心のロジャー印。パーカッシヴなビートを強調した「The Break Song」、メロウな歌モノ「I Keep Trying」も楽しめる。