100 proof aged in soul
100 Proof Aged In Soul
 Hot Wax '72 

モータウンを離れたホランド=ドジャー=ホランドが設立したレーベル、インヴィクタス/ホット・ワックス。LAへと去っていったモータウンに替わり、70年代のデトロイトの音をレペゼン。時節柄ファンクやニュー・ソウルの影響も取り込みつつ進化した、このレーベル特有の乾いた硬いグルーヴのデトロイト・ビートは堪らなくソウルフルでカッコいい。
これはスティーヴ・マンチャを中心に結成されたグループ、100プルーフ・エイジド・イン・ソウルのホット・ワックスからリリースされた2ndアルバム。ピート・ロックにも影響を与えたに違いないアフロ・ヘアーとコームのジャケットもイカす、70年代ソウル名盤のひとつ。メンバーは流動的だったようで、1stアルバムからメンバーが入れ替わっているが、目を引くのはギターのロン・バイコウスキー。ファンカデリック『Cosmic Slop』から『Let's Take It To The Stage』あたりまでのアルバムに参加していた白人ギタリスト。パーラメントは70年前後にインヴィクタスに在籍していたこともあり、Pファンクとは浅からぬ由縁がある。バイコウスキーはさすがにここではハードなロック・ギターは披露していないが、堅実なバッキングで貢献している。
パーカッシヴなデトロイト・ビートにニュー・ソウル的なフルートとストリングスを絡めた「Everything Good Is Bad」は、クールに抑制されたファンクネスをジワジワと発露させていく。マンチャのソウルフルなヴォーカルが素晴らしいミディアム・スロウ「Since You Been Gone」、ニュー・ソウル調の路地裏ソウル「Nothing Sweeter Than Love」、「Ghetto Girl」「I Don't Care If I Never Get Over You」もマンチャの張り裂けんばかりのソウル歌唱で涙腺崩壊。豪快なジャンプ・ナンバーの「Don't Scratch Where It Don't Itch」、ソウルフルなミディアム「Don't You Wake Me」もいい。
現行CDにはシングル・オンリーの6曲がボーナス・トラックとして追加されており、60年代スライ風の「I'd Rather Fight Than Switch」、グルーヴィーなノーザン・ソウル「If I Could See The Light In The Window」はなかなかの出来。76年の「My Piece Of The Rock」「I'm Mad As Hell」になると、完全にディスコに浸食されてしまっている。