Super Bad/James Brown
King '71
キングからの最終リリースとなった71年作。
ファンクはタイトル曲のみで、これはブーツィー&キャットフィッシュ擁するオリジナルJB'sの演奏。他の曲は60年代末の録音。曲間に歓声をインサートした、この時期のJBに有りがちな擬似ライヴ仕立てで、やはり当時のJBのアルバムの多くと同様に寄せ集め感は否めない。必然、アルバムとしての評価は高くないと思われ、「Super Bad」1曲のみにおいて存在価値が認められるアルバムだが、この「Super Bad」がハンパない。
これ以上タイトになりようがないほどタイトなファンク・ビートを繰り出すジャボのドラムス、黒く太いウネりでグルーヴを牽引するブーツィーのベース、痙攣するようなキャットフィッシュのカッティング・ギター、黒いアフロ成分を注入するジョニー・グリッグスのコンガ、フリーキーなフレーズで切り裂くサックスと分厚く盛り上げるホーン・セクション、そして、ひきつけを起こしたかのようなJBの強烈なスクリーム。まさにスーパー・バッドなスーパー・ヘヴィー・ファンク。JBファンクのなかでもおそらく上位5指に余裕で入るクラシック中のクラシック。
以降の曲は、取り立てて語られることもない地味な曲ばかりだが、「Super Bad」の余韻で意外と聴けてしまう。サム&デイヴで有名な「Let It Be Me」はヴィッキ・アンダーソンとのデュエットで、原曲のバラードではなくアップ仕上げ。なかなかソウルフルで悪くない。JBは一歩引いてヴィッキに花を持たせているようにも聴こえる。サザン・ソウル・バラードの「Sometime」と、ストリングス入りのバラード「A Man Has To Go Back To The Crossroad」は、曲としては凡庸と思うが、JBの歌は流石に上手い。「Giving Out Of The Juice」はブルージーな曲。JBが弾くソウル・ジャズ的なオルガンがいい味を出していて、JBがスキャットとオルガンでユニゾンをキメる部分なんかカッコいい。ラストのビッグ・バンド・ソウルの「By The Time I Get To Phoenix」はどうってことない。
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