breakin bread
Breakin' Bread/Fred & The New J.B.'s
 People '74 

アルバムの度に名義が変わるJB's、今度はバンド名に"New"が付いた4thアルバム。
JB一座のバンマスであるフレッドの役割は重要で、天才肌JBの感覚的で伝わりづらい指示やアイディアを、バンド・メンバーに分かり易く翻訳し、JBの頭の中で鳴っている音楽をきっちり整理してカタチにする役目を担っていた。前作『Damn Right I Am Somebody』からJB'sと共にフレッドの名前が併記されるようになったのは、JBもフレッドの功績を認めていたからこそだろう。とは言え、フレッドに裁量が委ねられていた部分は限定的で、本作でもやはりJBが逐一口出ししていたに違いない。
本作は前作同様に、曲間にインタールドを挟んだコンセプチュアルなつくりだが、前作の強力なヘヴィー・ファンク・サウンドと比較すると、ややユルくなった印象。しかしながら、大作志向の『Payback』や『Hell』の冗長さに比べれば、まだ十分に聴き応えがある。冒頭のタイトル曲「Breakin' Bread」からイカしたファンクをカマす。ストロング・スタイルのへヴィー・ファンク「I Wanna Get Down」、フレッドのトロンボーンを中心に据えたミッド・ファンク・グルーヴにラップ調のヴォーカルが乗る「Little Boy Black」、速いテンポのファンク・チューンをフレッドのトロンボーンが自在に乗りこなす「Rice 'N' Ribs」、ジャジーなギターがいい感じのミドル・ファンク「Rockin' Funky Watergate」、掻き毟るようなワウ・ギターがファンキーな「Funky Music Is My Style」、「Step Child」は高速ジャズ・グルーヴ。
佳曲揃いのこのアルバムの価値を貶めてるのは、オハイオ・プレイヤーズ「Skin Tight」をノン・クレジットでまるパクリした「Makin' Love」。あのベース・ラインもそのまんまで、出来としてもオハイオに完敗。これが誰のアイディアだったのか、おそらくJB自身だろうが、ファンクの偉大なオリジネイターの権威は完全に失墜。フレッドもこの一件でJBに見切りをつけたのだろうか、程なくしてメイシオと共にJBの元を離れPファンクへと合流することになる。