southern nights
Southern Nights/Allen Toussaint
 Reprise '75 

暑い夏の夜、夜風に当たりながら聴きたいアルバム。
アラン・トゥーサンの代表作にして、ニューオリンズ音楽を代表する名作『Southern Nights』。前作『Lefe,Love And Faith』はファンキーな傑作だったが、引き続きミーターズの面々がバッキングした本作はファンク色は後退。代わりに、トゥーサン持ち前のポップ・センスを存分に発揮。ドクター・ジョン『Gumbo』がニューオリンズ音楽の伝統と歴史を紐解き広く一般に知らしめた教科書だとすれば、本作はニューオリンズ音楽をポップに分かりやすく噛み砕いた、最初の1枚にふさわしいアルバム。もちろん、ニューオリンズ音楽の旨味はそこかしこに滲み出ていて、ソウル・アルバムとしてもポップスとしても一級品。トゥーサンのヴォーカルは白くソウルフルではないが、それを補って余りある曲の良さ。ミーターズのリズム隊もしっかりグルーヴを充填。
1曲目の「Last Train」は、ジガブー&ポーターの繰り出すグルーヴ、トゥーサンのピアノに胸が高鳴る、トゥーサンのソロ曲の中でも最も好きな曲。「Worldwide」は洗練された曲だが、ミーターズの腰の強いリズムが引っ張る。AOR的なバラード「Back In Baby's Arms」、弾むようなリズムの「Country John」「Basic Lady」といった曲も、ポップな味付けながらグルーヴは十分。タイトル曲「Southern Nights」は、どこか神秘的でメロウな名曲。「You Will Not Lose」「What Do You Want The Girl To Do?」「When The Party's Over」など、本当に何ていい曲を書くんだろうと思わず唸らされる。深い哀愁を湛える「Cruel Way To Go Down」もいい。