still bill
Still Bill/Bill Withers
 Sussex '72 

自動車整備工から歌手に転向し、33歳でアルバム『Just As I Am』でデビューしたビル・ウィザーズ。遅咲きの苦労人だが、デビュー作からシングル「Ain't No Sunshine」がヒット、この曲でグラミーをも受賞。
本作『Still Bill』は2作目。前作はブッカーTのプロデュースだったが、本作はビル自身と、ワッツ103rdストリート・リズム・バンドからの4人=ジェイムス・ギャドソン、メルヴィン・ダンラップ、レイ・ジャクソン、ビノース・ブラックモンのプロデュース。演奏もビルを含めたこの5人ですべて担っている。
このアルバムは、同時代のニュー・ソウル名盤、『What's Going On』や『Superfly』、『Innervisions』といった作品にも比肩する名作。特に、ワッツ・バンドとビルの息の合ったグルーヴィーな演奏が素晴らしい。ビルの歌は朴訥としていて派手さはないが、聴き手の魂に訴えかける力がある。ソングライターとしての才も存分に発揮されていて、とにかく良い曲が揃っている。本作のうち半数の曲が、後に様々なアーティストにカバーされている事実が、本作の曲の良さを証明している。結果的に、「Lean On Me」「Use Me」の大ヒットを生み、前作以上の成功をおさめた本作はビルのキャリアのピークとなった。
ギターがザクザクと刻む「Lonely Town,Lonely Street」は、『Superfly』の冒頭を飾る「Little Child Running Wild」にも通じる、ストリートの状景が目の前に立ち上がるような、映像を喚起する素晴らしいオープニング・ナンバー。「Let Me In Your Life」はテンダーなアコースティック・スロウ。「Who Is He(And What Is He To You)?」はクールなスロー・ファンク。「Use Me」はギャドソンがめちゃくちゃカッコいいグルーヴを繰り出す大名曲。ギャドソンと言えば多くの人が「Use Me」のプレイを思い浮かべるほど、この曲は彼の代名詞と言える曲だ。優しさと希望の光が射す「Lean On Me」も不朽のスタンダード。「Kissing My Love」はワウ・ギターが蠢くカッコいいファンク。ジャジーな「I Don't Know」、グルーヴィーな「Another Day To Run」「Take It All In And Check It All Out」、ブルーズの「I Don't Want You On My Mind」と、粒揃いの楽曲が収められている。