new directions
New Directions/The Meters
 Warner '77 

メンバーにとっては不本意なかたちで世に出てしまった前作『Trick Bag』を最後に、アラン・トゥーサン&マーシャル・シホーンと袂を分かち、またバンド内のパワー・バランスの変化、方向性の相違からバンド運営が困難になってきたミーターズ。アルバム・タイトル、ジャケットともに示唆的な本作『New Directions』はミーターズの最終作。トゥーサンから解放されたバンドは、ニューオリンズを離れサンフランシスコに飛び、タワー・オブ・パワーのホーン・セクションを起用し本作を録音。必然、ニューオリンズらしさは希薄になり、そこが物足りなく感じる部分ではあるけれど、バンド解散のネガティヴな雰囲気はなく、吹っ切れたのか妙にカラッと明るく快活なファンク・アルバムになっている。
「No More Okey Doke」はシリルがリード・ヴォーカルを取るファンク。ワウをかけた太いベースが強力。アートが歌う「I'm Gone」はニューオリンズ・スタイルのR&Bナンバー。「Be My Lady」はメロウなシティ・ソウルで、ジョージ・ベンソン風のギターとヴォーカルのユニゾンも飛び出す。AOR的だが悪くない出来。「My Name Up In Lights」は分厚いホーン・セクションと屈強なリズム隊が拮抗するファンク・チューン。「Funkify Your Life」はギターにトーク・ボックスを咬ませた、グラハム・セントラル・ステーションっぽい重量級ミッド・ファンク。ウェイラーズ「Stop That Train」のカバーは、ストレートなレゲエ・アレンジ。「We Got The Kind Of A Love」はフュージョン/AOR調。『Cabbage Alley』以降はアルバム中に必ず1曲、この手のフュージョン系の曲を入れてきたが、この曲はその集大成とでもいうべきか。ラストの「Give It What You Can」は、ホーン・セクションが盛り立てるファンク・ナンバー。