brainchild
Brainchild/Society Of Soul
 LaFace '95 

90年代半ばから、TLCやアウトキャスト、グッディ・モブらアトランタ周辺のヒップホップ/R&Bアクトの作品を手がけ台頭してきたプロデューサー・チーム、オーガナイズド・ノイズ。そのオーガナイズド・ノイズ=スリーピー・ブラウン、リコ・ウェイド、レイ・マレイの3人に、女性シンガーと語り担当を加えた5人組がこのソサイエティ・オブ・ソウル。
実質的にオーガナイズド・ノイズのリーダー作である本作『Brainchild』は、彼らの敬愛する70年代ファンク/ソウル臭濃厚。ヒップホップのフィルターを通してはいるが、それでも拭い切れないこの土臭さは異様。当時、本作を評して90年代の『暴動』との評価もあったが、アルバム全体を覆う暗く沈んだムードや冷めた肌触りは確かにスライを思わせる。また、70年代後半に活躍したファンク・バンド、ブリックのリーダー/サックス奏者のジミー・ブラウンを父に持つスリーピー・ブラウンのファルセット・ヴォーカルもあって、カーティス・メイフィールドからの影響も色濃く感じさせる。実際、アルバムの数曲はカートム・スタジオでも録音というこだわりっぷり。96年のカーティスの遺作『New World Order』でも、オーガナイズド・ノイズは70年代のカーティス・サウンドを見事90年代にアップデートすることに成功している。
アルバムは、太いベース・ラインと軽く鳴らされるギターがクールなミドル「E.M.B.R.A.C.E.」からスタート。TLCのT-ボズをフィーチャーした重く沈むグルーヴの「Changes」、アフロなパーカッションとワウ・ギターが効いたスロー・ファンク「It Only Gets Better」、まったりしたムードのサザン・コンフォート「Brainchild」、怪しげなフルートが舞うダークで呪術的なヴードゥー・ファンク「Ghetto Fuh Life」、ドロリと気怠いグルーヴのスロー・ファンク「Right Tonight」、くすんだキーボードとユルいワウ・ギターにストリングスが絡むミドル「Pushin'」、ヴァイオリン・アレンジが70年代中期のスライを何となく思わせるミッド・グルーヴ「Migratenation」、ジミー・ブラウン親父が余裕たっぷりにブロウするメロウなアーバン・スムーヴ「Wind」、ジョージ・クリントンが語りを入れる、深海を揺蕩うようなディープ・グルーヴ「Black Mermaid」、カーティス調のミディアム「Peaches n' Erb」と、アルバム全体に透徹された、クールに抑制されたグルーヴが素晴らしい。
よりロウなファンク・サウンドを標榜した98年のスリーピーのプロジェクト、スリーピーズ・テーマの『The Vinyl Room』も傑作。