mamasgun
Mama's Gun/Erykah Badu
 Motown '00 

アルバム『Baduizm』でシーンに鮮烈に登場したエリカ・バドゥの2nd。
ディアンジェロ『Voodoo』、コモン『Like Water For Chocolate』とともに、いわゆるソウルクエリアンズ3部作の1枚。同時期にエレクトリック・レディ・スタジオで録音されたこれら3枚のアルバムには、いずれにも共通するムードがあるが、『Voodoo』はディアンジェロをはじめ、クエストラヴ、ジェイムス・ポイザーなどクエリアンズの面々によるジャム・セッションであるのに対し、他の2枚は『Voodoo』にはクレジットがないジェイ・ディーことJディラ主導による制作という違いがある。3枚ともヒップホップを通過しながらも、『Voodoo』はロウなグルーヴに徹底的に拘ったファンク、『Like Water For Chocolate』は現代のファンク・ミュージックとしてのヒップホップ、『Mama's Gun』はヒップホップ/R&Bと70年代ソウルの理想的な邂逅、といった色分けがなされている。
オープニングの「Penitentiary Philosophy」はハードなブラック・ロック・チューンでいきなり度肝抜かれる展開。ねっとりグルーヴィーなミドル「Didn't Cha Know」、ジャジーなピアノ・サンプルが弾む「My Life」、デビュー曲「On & On」の続編的な「... & On」、ロイ・エアーズの艶っぽいヴィブラフォンと薄く敷いたシンセが、まんま70年代後半のロイ・エアーズ・プロダクションな「Cleva」、ジョニー・ハモンド「Gambler's Life」をネタ使いしたファンク・トラック「Booty」、不思議な浮遊感漂う「Kiss Me On My Neck(Hesi)」、ベティ・ライト参加のアコースティック・ソウル「A.D.2000」、アンニュイでメランコリックな「Orange Moon」、スティーヴン・マーリーとデュエットした「In Love With You」、Dr.ドレ「Xxplosive」を下敷きにした「Bag Lady」、アルバム終盤はジャジーな「Time's A Wastin」「Green Eyes」。