what color is love
What Color Is Love/Terry Callier
 Cadet '72 

シカゴ出身のシンガー/ギタリスト、テリー・キャリアー。
レコード・デビューは60年代半ばだが、70年代前半にカデットからリリースした3枚のアルバムがそのキャリアのピークなのは間違いない。キャリアーの音楽は、フォーキーと評されることが多いが、同時代のニュー・ソウルやジャズの要素を溶かし込んだ音楽はオリジナリティに溢れている。なかでもカデットからの2枚目となる本作『What Color Is Love』は、もの悲しくも美しいジャケットがすべてを物語るような、メランコリックで慈愛に満ちた名作。フィル・アップチャーチ、ルイス・サタフィールド、モーリス・ジェニングスらシカゴ人脈によるバッキングはグルーヴ感に溢れ、琴線に触れるようなストリングス・アレンジも美しく、プロデューサー/アレンジャーのチャールズ・ステップニーの手腕が本作の芸術性を高めている。
1曲目の「Dancing Girl」は、ドラマティックな展開を見せるフォーク・ソウルで、哀愁滲むメロディと歌唱に鳥肌がたつような名曲。タイトル曲「What Color Is Love」は儚さと憂いを帯びたジャジー・スロウ。キャリアーの濡れたヴォーカルが沁みわたるこれも名曲。「You Goin' Miss Your Candyman」はアルバム中で最もグルーヴィーな曲。ウネるベースラインと埃っぽいパーカッションがカッコいい。チャールズ・ステップニーらしいオーケストラ・アレンジが映える「Just As Long As We're In Love」「Ho Tsing Mee(A Song Of The Sun)」、郷愁誘うフォーク・ソウル「I'd Rather Be With You」、シルキーなメランコリック・ソウル「You Don't Care」など、全曲素晴らしい。