play deep funk
Play Deep Funk/The Sound Stylistics
 Freestyle '07 

ジェイムス・テイラー・カルテット、インコグニート、スノウボーイ、ガリアーノ、ニュー・マスターサウンズなど、新旧のUKアシッド・ジャズ/ジャズ・ファンクを支えたミュージシャン達が集まったサウンド・スタイリスティックス。パーマネントなバンドと言うよりも、企画モノと捉えた方がいいのかもしれないが、一応アルバムはこれまでに2枚出していて、これは1枚目のアルバム。
音楽の才能と野心のあるアメリカ黒人の多くがファンク・バンドをやっていた80年代初め頃までとは違い、80年代半ば以降はヒップホップの興隆とともにそこへ人材が集中するようになり、ファンク・シーンは深刻な人材不足に。また、人件費の嵩むファンク・バンドよりも、コスパの高いヒップホップに資本も集中するようになり、80年代後半にはアメリカからファンク・バンドはほぼ絶滅。今や楽器を手に取るアフリカン・アメリカンは、大衆音楽の分野では稀な存在となっているのが実情。そんな中、今現在ある程度コンスタントに活動を続けているファンク・バンドは、今ではそのほとんどが白人のバンド。特に、イギリスをはじめ欧州にはそういったファンク・バンドがちらほら存在し、狭いながらもひとつのシーンを形成している。
この手のバンドは、60~70年代のファンク/ソウルへの憧憬からスタートしているのは当然だが、黒人が持って生まれた身体能力や嗅覚のようなものは持ち合わせていないので、黒人がある程度感覚的にファンクをやれてしまうのとは違い、彼らイギリス白人のファンクは、ひたすら研究と研鑽を積み重ねたモノだ。今のディープ・ファンク系の白人バンドに時折感じる物足りなさは、彼らのファンクが身体的/感覚的なモノではなく、黒人音楽の大きな魅力のひとつである、臭みや色気の希薄な学究的/標本的なモノに聴こえてしまうからだと思う。だったらJB'sやミーターズを聴いていれば十分じゃないの、みたいな。
とは言え、この辺りの音を聴かずに無視してしまうのは勿体無いとも思う。もとより趣味性の高いこれらのイギリス白人バンド、60年代後半~70年代のファンク/ソウル/ジャズ・ファンクの美味しい部分だけを抽出し曲をつくっているので、聴いていて気持ちいいのは間違いない。遡ればUKファンク・バンドのパイオニア、アヴェレイジ・ホワイト・バンドからして、JB'sをそっくりコピーして本場アメリカ黒人にも大ウケしたのだから。それに、過去の偉大なる遺産の気持ちいい部分だけをサンプリングしてループするというのは、方法論としてはヒップホップに通じるものがあるとも思う。
そこで、このアルバム。正に70年前後のファンクやジャズ・ファンクの、気持ちいい部分だけを濃縮還元したような作品。そのサウンドは匿名的ではあるが、ファンク好きなら間違いなくハマること請け合い。70年代ファンクの見本市といった感じで、聴いていると様々なファンク・グレイツを想起させる。オープナーの「Shake And Hip Drop」から、まんまJBなカッティングとホーン・アレンジの黒光りファンク。「Soul Dynamite」「Party People」「Back On The Streets」「Get Ya Some」「Freedom Sound」といったファンクや、「The Players Theme」「Down Home Style」「Move It Up」「Put It In The Pocket」などのジャズ・ファンクは、聴き手のツボを的確に突いてくる。マンゼル風のスペイシーな「Polariser」、グラント・グリーンっぽい「Fast Eddie」、ミステリアスなジャジー・グルーヴ「Night Theme」、ブラックスプロイテーション風「Keeping On」、へヴィーなドラムスのスロー・ファンク「Homebrew」など、出来のいいファンク・コンピを聴いているみたいだ。