live at the fillmore east
Live At The Fillmore East October 4th & 5th,1968/Sly & The Family Stone
 Epic '15 

先頃リリースされたスライ&ザ・ファミリー・ストーンの68年未発表ライヴ音源4CD。
68年と言うと、『Stand!』で爆発直前、『Life』リリース後ということになる。スタジオ録音作品としては『Stand!』『暴動』『Fresh』あたりがピークで、個人的にもこの辺りのスライに心酔しているわけだが、ブートで出回っている70年代前半のライヴ音源などを聴くと、何だかヘロヘロでテンション緩い感じで、あまり内容の良いものが無いように思う。ライヴ・パフォーマンスの面で言えば、正しく昇り調子でまだ粗削りだった68~70年頃が1番凄かったと思われ、本作で聴ける演奏もモノ凄いことになっている。
2日間、計4セットが4CDに収められており、当然ながら『Dance To The Music』『Life』中心に選曲されている。セットリストは毎回ちょっとづつ異なっているが、核となるのは「Are You Ready」「Color Me True」「Dance To The Music」「Music Lover」「M'Lady」「Love City」あたり。とにかく、バンドが放射する熱量が圧倒的。特にリズム隊の、ファンキーでロックなグルーヴのウネリが尋常じゃない。グレッグ・エリコのドラムスは、所々で走ったりモタったりと安定しない部分もあるが、そんなことが瑣末に思えるぐらい、個性的で破壊的なビートをドカスカと叩き込んでくる。ラリー・グラハムのベースは暴れ馬のようなドラムをガッチリ支えて乗りこなし、極太のグルーヴを弾き出す。そこに、ガシガシとカッティングで切り込んでくるフレディーのギターは、正にファンク・リズム・ギター斯くあるべし、と言いたくなるモノ。ギターも含めたこの頃のファミリー・ストーンのリズム・セクションが、ファンク史上においても(オリジナル)JB'sやミーターズと並ぶ最高峰であったことを、改めて思い知らされる。
もちろん、すべてを統べるリーダー、スライのカリスマ、天才性は音源のそこかしこから溢れ出ている。まだドラッグでボロボロになる前、新しい地平を切り拓かんとする気概と希望に満ちた姿はあまりにグラマラス。既にバンド内に闘争はあったのだろうが、スライを中心にしながらもメンバーが対等に渡り合い拮抗することで、この頃のこのバンド特有の緊密な一体感が生み出されていて、これも当時のスライが企図していたものに違いない。一塊となったファミリー・ストーンのグルーヴは、「Are You Ready」「Color Me True」をよりダークでドスの効いたファンク・ロックに押し上げ、「Music Lover」「M'Lady」は祝祭感に溢れている。何故か全セットで演奏されている、ローズがリードを取る「Won't Be Long」という曲はコロンビア時代のアレサ・フランクリンの曲とのことだが、ローズが結構頑張っていてファンキーにキメてくれる。
本作とウッドストックのライヴで、68~69年のライヴ音源がオフィシャルにリリースされたことになるが、お宝は他にもまだ有るハズ。70年のワイト島の音源の一部は、4CDボックスセット『Higher』に収められているが、買ったっきりちゃんと聴けていなかったりするのだが、ここは是非、一部と言わず完全版を出してほしいものだ。