live at fillmore west
Live At Fillmore West/Aretha Franklin
 Atlantic '71 

ソウルのライヴ・アルバムとしては最高の作品のひとつとされる、アレサ・フランクリンの名盤『Live At Fillmore West』。
当時既にソウル・ミュージック界の女王として君臨していたアレサだが、ジェリー・ウェクスラーはロック・フィールドにまでマーケットを広げんと目論み、このフィルモアでのライヴ及びライヴ・アルバムのレコーディングが実現。フィルモアの客層を意識し、同時代のロック/シンガー・ソングライターの曲のカバーが演目の大半を占めているが、どんな曲でもアレサのモノにしてしまう熱くソウルフルな歌唱が素晴らしい。キング・カーティス率いるキング・ピンズ=バーナード・パーディー、コーネル・デュプリー、ジェリー・ジェモット、トゥルーマン・トーマス、パンチョ・モラレスに、ビリー・プレストンとメンフィス・ホーンズも加えたバンドの超グルーヴィーな演奏も凄いの一言。計3日間のステージに立ったアレサは、白人聴衆を完全にロックしてしまった。
オープンニングの高速「Respect」からいきなりブッ飛ばされる振り切れっぷり。アレサもキレキレだがバンドのグルーヴもモノ凄い。ゴツゴツしたソウル・グルーヴに乗って余裕のヴォーカルをカマす「Love The One You're With」は、興に乗ったパーディーが必殺のダチーチーを繰り出す。ゴスペルな昂揚感に溢れる「Bridge Over Troubled Water」は感動的。原曲を遠慮なく破壊した「Eleanor Rigby」はファンキーな一発。メロウで心地よい「Make It With You」、シャッフル調の「Don't Play That Song」、ブルージーな「Dr.Feelgood」の終盤ではゴスペル丸出しのコール&レスポンスでじわじわ盛り上がり、そのままライヴのハイライト「Spirit In The Dark」へ。これもほとんどゴスペルのようなチャーチな曲だが、途中テンポアップしてからの熱い盛り上がりは正に教会直送といった雰囲気。更に後半は御大レイ・チャールズが登場、ソウルとブルーズとゴスペルが混然一体となりモノ凄いことに。ここでのレイとアレサから漂う色気と凄味はやはりタダモノではない。バンドのグルーヴも最高潮に達し、とんでもなくウネっている。ラストの「Reach Out And Touch」は、前曲の余韻を醒ますようにクールダウンしながら幕。
ライノからリリースされた、3日間の全ステージを収めた4CD完全版はさすがに手が出なかったが、その後に出たお手頃な縮小版2CDでも十分すぎるほど濃厚で素晴らしい。