gratitude
Gratitude / Earth,Wind & Fire
 Columbia '75 

アース絶頂期にリリースされた、アナログでは2枚組にも及ぶ大作ライヴ盤『灼熱の狂宴』。
何だかモノ凄く暑苦しい邦題だが、実際相当に熱いライヴ音源。前作『That's The Way Of The World』、そしてシングル「Shining Star」の大ヒットにより、一躍スターダムを駆け上がったアースの、まさに昇り龍のごとき勢いに溢れたパフォーマンス。視覚効果を含めたエンターテインメント性の高いステージがアースの人気を押し上げた大きな要因だが、こうして音だけを聴いてみると、高度な演奏力を誇るタイトなバンド・サウンド、躍動感溢れるファンク・グルーヴに圧倒される。また、ジャズやアフリカ、ブラジル音楽からの影響の大きさにも改めて気付かされる。
銅鑼の音からスタートする1曲目は強力なアフロ・ジャズ・ファンク「Africano/Power」。続く「Yearnin' Learnin’」も快調で、ランニング・ベースがグルーヴをグイグイ引っ張る。ファルセット・リードとコーラスが見事な「Devotion」、ラムゼイ・ルイス抜きの「Sun Goddess」は、スキャット・コーラスが涼しげなジャズ・ファンク・ナンバー。フィリップ・ベイリーのファルセットが響き渡るスロウ「Reasons」、「Sing A Message To You」は「Kalimba Story」の演奏の断片で、直ぐに終わってしまうのが勿体ない。ここでようやく「Shining Star」の登場、この曲のタイトでソリッドなファンク・グルーヴはやはり凄い。ライヴ本編のラストは「New World Symphony」。カリンバの音色に導かれるアフリカン・ジャズ。
本作はC面3曲目以降はスタジオ録音の新曲という変則的な構成。個人的には、この新曲の方はあまり好んで聴いていない。前作までの、洗練のなかにもゴツゴツした感触を僅かに残していた「Happy Feelin'」や「Yearnin' Learnin'」のような曲が好きだったのだが、ここでの新曲群は完全に角が取れた印象で、次作『Spirit』と地続きとなっている。なかでは、ディアンジェロの秀逸カバーも印象的だった「Can't Hide Love」が名曲。