ive been watching you
I've Been Watching You / Jakky Boy & The Bad Bunch
 Salsoul '83 

ジャケ買い必至の本作は、ファンク・キャピタルのオハイオ州デイトン出身、ケリー・ラトリッジ率いるジャッキー・ボーイ&バッド・バンチの1stアルバム。
ラトリッジ他数名のメンバーはこれ以前にプラティパスなるバンドを結成し、カサブランカからアルバムを2枚リリースしており、ラトリッジはまだこの時は中心的なメンバーというわけでもなかったと思われるが、本作では全曲の作曲、アレンジ、プロデュースの他、ヴォーカルにギターやキーボードもこなす多才ぶりを発揮。83年という難しい時期だけあって、シンセサイザーを駆使したエレクトリックな質感のファンク・サウンドが大勢を占めるが、まだ打ち込みではなく生ドラムなので聴き応えは十分。

アルバムのオープニング・ナンバーでシングル・リリースされた「I've Been Watching You」は、クールでスタイリッシュなエレクトリック・ブギー・ファンク・ダンサー。この曲は元スレイヴでこの頃サルソウルでオーラやシヴィル・アタックを手がけていたスティーヴ・ワシントンがミックスを担当とのことで、この一際メタリックで冷徹な感触はシヴィル・アタックにも通じるもの。
異様な迫力で迫るエレクトロ・ファンク・チューンの「I Need Your Love」はザップやワン・ウェイのファンク・サウンドの向こうを張るかのよう。馬鹿デカいハンド・クラップにギター・カッティングが絡むヘヴィー・ファンク「Holdin' On」、「Angel baby」は淫靡に爛れたムードにムズムズするブギー・ファンク。
「Come To Me」はエムトゥーメイ&ルーカス的なアーバン・ニューヨーク・サウンドを彷彿とさせるファンク・ダンサー。エレクトリックなリズム・ギターが軸となったデジタルな質感のサウンドに破裂音のごときクラップが炸裂する「Rock The Rhythm」、ラストの「Gave You All My Love」は都会的な哀愁バラード。