live 1976-93
Live 1976-93 / Parliament-Funkadelic
 P-Vine '93 

90年代前半のPファンク再評価熱は、70年代の主要アルバムの他、パーレットやミューティニーなどの傍系グループのCD化、更には例の5枚連続リリースの未発表曲集と、随分な盛り上がり様だった。それら一連の盛り上がりのダメ押し的にリリースされたのが、この4枚組未発表ライヴ盤。
タイトルにある通り、76年からオール・スターズとしての93年の音源までが収められた驚愕のヴォリューム。既にブートレグとして出回っていた音源も含まれるようだが、70年代後半の全盛期のライヴの模様がたっぷりと収録されていてモノ凄い満足感。手持ちのものはPヴァインから出た日本盤だが、どうやら米盤・英盤はそれぞれ収録曲が一部異なるという悩ましさ。クリントンらしいと言えばらしいヤリくちだが、さすがに米英盤まではフォローしていない。
まず、ディスク1の全7曲とディスク2の頭2曲に渡って収録された、78年6月フラッシュ・ライト・ツアーが何と言っても目玉。この時既にグレン・ゴインズとオリジナル・パーラメンツのうちの3人はグループを去り、フロントに立つヴォーカル陣はクリントンの他、ゲイリー・シャイダー、レイ・デイヴィス、ロン・フォード、ブライズのリン・メイブリィとドーン・シルヴァといった布陣。ドラムスはジェローム・ブレイリーとタイロン・ランプキン、ベースはブギーとスキート、ギターはゲイリーとマイケル・ハンプトン。そしてキーボードはバーニー・ウォーレルに加えジュニーも参加していると思われる。まず、このツアーのオープニング・ナンバーだった24分にも及ぶ「Funkentelechy」が圧巻。オリジナル版よりもテンポを落とし、ジワジワと焚き付けてくるグルーヴがモノ凄い。スキートの長いベース・ソロとか、各プレイヤーに見せ場あり。ヴォーカル隊は人数こそ減ったものの、練られたヴォーカル・アレンジや華のあるブライズの2人の頑張りもあって、アース・ツアー時と比べても遜色ない。「Cosmic Slop」「Maggot Brain」はハンプトンとゲイリーのへヴィー・ファンク・ロック・ギターが唸る。「Bop Gun」はゲイリーのヴォーカルを軸にブライズの2人が抜群のフットワークを見せる。そのままメドレーで「Funk Gettin' Ready To Roll」から「It Ain't illegal Yet」へと繋がる構成。当時の最新ヒット・ナンバー「Flash Light」は聴衆も演者も一層熱く盛り上がる。これも18分と長尺の「Mothership Connection」は、グレン不在のためかアース・ツアーのようなゴスペル的な昂揚感ではなく、よりタイトなファンクになっている。「Give Up The Funk」はヴォーカル陣も演奏もモノ凄い熱量でグツグツと盛り上がる。
ディスク3の頭3曲もフラッシュ・ライト・ツアーの音源だが、こちらは78年11月のもので、ジェローム脱退後か。いずれもファンカデリック・ナンバーで、タイトなブラック・ロック・チューン「Red Hot Mama」、トロピカルなスロー・ファンク・ジャム「Into You」、クリントンとゲイリーが聴衆を煽りまくる「Standing On The Verge」では「Get Off Your Ass And Jam」なども交えグルーヴィーに突っ走る。
ディスク2の3~5曲目は77年1月のアース・ツアーの音源。ルーズなミッド・ファンク・ジャム「Let's Take It To The Stage」、ジェロームの転がるドラミングとブギーの太いベースが最高な「Do That Stuff」は、『Live P.Funk Earth Tour』で聴かれたメイシオのブロウはここでは入っていない。「Undisco Kid」もブギーの極太ベースがグルーヴしまくるクール・ファンク。
ディスク2の「Children Of Production」とディスク3の「Comin' Round The Mountain」は76年マザーシップ・コネクション・ツアーの音源で、有名なブートレグ『Rocky Mountain Shakedown』と同一のもの。アース・ツアー同様にヴォーカル・ワーク主体に聴かせる「Children Of Production」、ゴツゴツと攻めるファンク・ロック「Comin' Round The Mountain」と、素晴らしい出来。
80年代の音源は4曲のみと少なく、いずれも81年のもの。へヴィーにバウンスする「Atomic Dog」、かなりスロー・テンポな「One Nation Under A Groove」など。残りのディスク3の後半とディスク4のほとんどは、すべて92~93年の音源で、これが16曲もある。そのち大半がクラブ・チッタ川崎で収録されたもの。さすがにファンクはややユルくなってきているが、相変わらずゴリゴリのブラック・ロックもあり、Pファンク・ファンであれば聴く価値は十分にある。