express male
Express Male / The Malemen
 Mercury '84 

テネシー出身の5人組ファンク・バンド、メイルメン。
このバンドはアルバムを2枚リリースしているようで、90年にマラコから出た2nd『First Class Male』は未聴だが、84年の1stアルバムとなる本作『Express Male』はUS Black Disc Guideにも掲載された80年代中期のファンク好盤。

本作の最大のトピックは、キャメオのアンソニー・ロケットがプロデュースを務めていることだろう。
アンソニーは78年の3rd『Ugly Ego』から81年の7th『Knights Of The Sound Table』の5枚、つまりキャメオの全盛期に在籍し、ギター/ヴォーカル/作曲などバンドの中心人物として活躍。その後はキャメオから離れ独立し、82年にはウィンド・チャイムス『Arrival』を手掛けるなどプロデューサーとして活動。

そのウィンド・チャイムスのアルバムは、キャメオ直系の切れ味鋭いソリッドな剃刀ファンクが楽しめる良作。ウィンド・チャイムスにキャメオ・マナーを持ち込んだのは間違いなくアンソニーの仕業に違いないが、その2年後のメイルメンの本作でも、アンソニーは期待どおりキャメオ流儀のファンク・サウンドをこのバンドにもたらした。
84年ということもあり、スクエアなビートのライト・ファンクといった印象ではあるが、個人的にはやや散漫な印象を受けるキャメオの同年作『She's Strange』よりもアルバムの完成度では上回っていると思う。

アルバム・オープナーの軽快なパーティー・ファンク「Party Time」からキャメオ・マナー横溢で、キャメオ好きには堪らない幕開け。クールでゴリゴリのミッド・ファンク「Take You Out」は、ゴツいグルーヴがやはりキャメオっぽい。
スムーズ&メロウなミディアム・スロウ「Over The Rainbow」は、終盤に悶え嘶くギターも素晴らしい。「Hard On It」ではミネアポリス・サウンドっぽいポップなアプローチで聴かせる。

もうタイトルからしてどこかしらキャメオっぽい「Shake Down」は、デジタルな質感のソリッドなビートを刻むキャメオ直系のファンク・チューンで、ジャジーなキーボードもカッコいい本作のベスト・トラック。「Baby Doll」はクールで眩惑的なメロウ・ミディアムで、これも同時期のキャメオに共通する肌触り。
「Squeeze Play」はポップな曲調だが、タイトルどおりスクイーズするようなシンセ音、ゴリっとした質感のベースにジャジーなキーボード・プレイなど聴きどころ多し。ラストの「The Love We'll Share」は爽快なムードを湛えたメロウ・ミディアム。

ヴァイナル・マスターピースから出ているリイシューCDは盤起こしで音質に難があるため要注意。