dope dogs
Parliament Funkadelic P-Funk All Stars presents Dope Dogs
 P-Vine '94 

パーラメント、ファンカデリック、Pファンク・オール・スターズの連名表記でリリースされた94年作『Dope Dogs』。
当時は5枚連作未発表曲集や4枚組未発表ライヴ盤など、PヴァインのPはPファンクのPじゃないかと思うほどのリリース攻勢で日本のPファンク再評価の動きを牽引してきたのだが、そのトドメと言わんばかりにPヴァインが放ったのがこのアルバムだった。
2014年の『Firast Ya Gotta Shake The Gate』は、33年振りのファンカデリック単独名義作ということで話題になったが(33年振りで33曲入りというツマラナイ冗談を大真面目に実行してくれたばっかりに、今だに消化しきれていない...)、本作リリース時も、連名ながらパーラメント名義では14年振り、ファンカデリック名義では13年振りとして、ファンの間では大いに話題になった。
とは言え、往年のパーラメント・ファンカデリック・サウンドが再現されているワケではない。個人的には、82年の『Computer Games』以降~現在に至るまでの作品は、クリントンのソロ名義であれオール・スターズ名義であれ、どんな名前でリリースされるかに関わらず、基本的にはすべてクリントンのソロ・プロジェクトとして捉えている。そこに、70年代のパーラメント・ファンカデリックのような音楽的な方向性の棲み分けは見られない。
特に90年代以降は、ヒップホップのビートをPファンクのフォーマットにいかにして取り込むか、というのがテーマ。こういった試みは、前作『Hey Man... Smell My Finger』から本格化したものだが、本作では前作よりもバンド・サウンドっぽいグルーヴ感が強調されていて、これ以降、『Firast Ya Gotta Shake The Gate』に至るまでの作品はすべて、基本的に本作でのサウンドの延長線上にあると言える。
最大の目玉曲はアルバム・オープナーの「Dog Star(Fly On)」。ブラックバード制作の久々の正調ファンカデリック・サウンドで、ルーズなグルーヴの上にハードなギター・ソロを垂れ流すブラック・ロック・チューン。クリントンが1人でラップするクールなヒップホップ・トラック「U.S. Custom Coast Guard Dog」、パーカッシヴなビートが疾走する「Some Next Shit」は、「Never Buy A Texas From A Cowboy」のサンプリングにテンション上がる。
ザラついたジープなビートが本格的にヒップホップしている「Follow The Leader」、息子トレイシーらしい脱力ラップが妙に気持ちいいユルユルのルーズなファンク・ナンバー「Help Scottie, Help(I'm Tweaking And I Can't Beam Up)」、強めのビートのヒップホップ・チューン「Pack Of Wild Dogs」、ベリータ・ウッズがリード・ヴォーカルを取る「Fifi」、フックにスライ「Stand!」のフレーズを持ってきた「All Sons Of Bitch」、「Dopey Dope Dogs」はラガマフィン調ラップをフィーチャーした80年代的なPファンク・ナンバー。
金属的な打ち込みビートにギターがグシャグシャと絡む「Sick 'Em」、へヴィーなファンク・ビートに乗せてクリントンの孫娘パタヴィアンが「Give Up The Funk」「Insurance Man Of The Funk」のフレーズを歌う「Kibbles And Bits」、ラストはシンプルな打ち込みビートに様々なPファンク楽曲のサンプリングが乗るラップ・ナンバー「Tales That Wag The Dog」。
ところで、本作はイギリスでは95年、アメリカでは更に遅れて98年のリリースとなっており、当時のクリントンの本国での苦境ぶりが窺える。英米盤はそれぞれPヴァイン盤とは収録曲が異なっており、また米盤ではパーラメント・ファンカデリックの金看板を使用せず(できず?)、ジョージ・クリントン&Pファンク・オール・スターズ名義となっている。