dont sweat the technique
Don't Sweat The Technique / Eric B. & Rakim
 Geffin '92 

エリックB&ラキムの、コンビとしてはラストとなる4thアルバム。
ラージ・プロフェッサーが全面プロデュースを手がけた本作、一部のR&B調トラックは評価の割れるところだろうけど、ほとんどの曲はラージ教授らしいジープなトラックに、ラキムのクールでハード・ボイルドなラップが乗る力作。
アルバムの1曲目、ミッドナイト・スター「Curious」をサンプリングした「What's On Your Mind」がその問題の曲。93~94年頃から、80年代のメロウなR&Bをネタ使いしたトラックが激増したような印象があるが、この曲はそういった潮流の先駆けだったように思う。
2曲目以降は彼ららしい渋いファンクなトラックが続く。ワッツ103rdストリート・リズム・バンド「High As Apple Pie Slice」をサンプリングした「Teach The Children」、ファンキーなビートにカッコいいホーンが乗る「Pass The Hand Grenade」、激渋グルーヴの「Casualities Of War」、ドラムがドファンキーなミドル「Rest Assured」、定番ネタのボブ・ジェイムス「Take Me To The Mardi Gras」使いの「The Punisher」、JB「Funky Drummer」、カウンツ「What's Up Front That Counts」をサンプリングしたレイド・バック・チューン「Relax With Pep」、ドープなベース・ラインにボビー・ハンフリー「Blacks And Blues」のサンプルが乗るミドル「Keep The Beat」、ラファイエット・アフロ・ロック・バンド「Hihache」のビートにハーレム・アンダーグラウンド「Smokin' Cheeba-Cheeba」のヴォイス・サンプリングを挿入したファンク・トラック「What's Going On」、2パック主演の『Juice』サントラにも収録された「Know The Ledge」は、ウッド・ベースがウネるファンキーなトラックにラキムのファスト・ラッピンが乗るヒップホップ・クラシック。タイトル曲「Don't Sweat The Technique」も、ウネりまくるベース・ラインにクール&ザ・ギャング「Give It Up」のホーンがキマるジャズ・ファンク調のカッコいいナンバー。ラストの「Kick Along」はタイトなビートにホーンを絡めたファスト・チューン。
余談だが、このアルバムがリリースされた当時、ブラック・ミュージック・レビュー誌にて、某大手CDショップ・チェーン・バイヤー兼ライター氏が本作をけちょんけちょんに酷評していたが(たしか、ラキムのラップは淡白でつまらないetc)、おそらく一般的には本作はクラシック級とまではいかないものの、それなりに高く評価されていると思われ、少なくとも駄作ではまったくない。件のライター氏にとっては、今や触れられたくない黒歴史に違いない。