kids and me
The Kids & Me / Billy Preston
 A&M '74 

ビートルズやローリング・ストーンズのサポートと並行して、自身のソロ・アルバムも数多くリリースしたビリー・プレストンの、最大ヒットとなったのが74年の傑作『The Kids & Me』。
それまでのキャリアで培った幅広い音楽性をセンス良く纏め上げる手腕はやはり大したモノだが、本作も時代柄ニュー・ソウルやファンク要素を強く感じられる。ボビー・ワトソン、トニー・メイデンのルーファス組を軸に、グラハム・セントラル・ステーション『Ain't No 'Bout-A-Doubt It』に参加したドラマーのマニュエル・ケロウ、スライド・ギターにジョー・ウォルシュといった布陣で、厚みのあるバンド・サウンドでガッチリとビリーを支える。ビリーのゴスペル仕込みのヴォーカルが素晴らしいのは言わずもがな。

「Tell Me You Need My Loving」はポップに弾むロックン・ソウル・ナンバーで、粘り気のあるリズムはニューオリンズっぽくもある。全米No.1ヒットとなった「Nothing From Nothing」は最高に楽しいR&Bチューンで、ビリーがスティーヴィー・ワンダーやダニー・ハサウェイに比肩する才能の持ち主であることを知らしめる。スペイシーなムーグが轟くインスト・ファンク「Struttin'」、ファンキーなアップ・ナンバー「Sister Sugar」、ファンキーかつゴスペルっぽく迫る「Sad Sad Song」、「You Are So Beautiful」は数多くのカバーを生んだスタンダード・ナンバー。

Sometimes I Love You」はバンド一丸の演奏にビリーのソウルフルなヴォーカルが乗るアップ。チャーチなムードもあるインスト「St. Elmo」、ゴスペル・ソウルの「John The Baptist」、「Little Black Boys And Girls」はスティーヴィーがやりそうなラテン/ブラジリアン・ソウル。ラストの「Creature Feature」は、クラヴィネットとヴォコーダーが蠢くファンクで、盟友スライの影響を思わせる。