come
Come / Prince
 Warner Bros '94 

ワーナーとの泥沼の闘争の果て、プリンスは自らの名前の封印を宣言、類稀なる才能で一世を風靡したアーティスト:プリンスは死に、その“遺作”としてリリースされたのが本作『Come』。
本作の特殊な性格故か、アルバム全体に暗く沈んだトーンを基調としていて統一感がある。過去2作の『Diamonds & Pearls』や通称『Love Symbol』のような肩に力の入り過ぎたパワー・ポップ・ファンクは後退しており、何度も繰り返し聴きたくなる殿下のアルバムは久し振りだった。
アルバム冒頭の11分にも及ぶタイトル曲「Come」がまず圧巻。ヒップホップ的なビート感、深く潜航するグルーヴ、ホーン・セクションを大きくフィーチャーしたジャズ・ファンク調のナンバーで、殿下のこの手の試みとしては最も成功している曲と言える。そこからシームレスに繋がる「Space」はハウスっぽいプロダクションを上手く消化したスムーズ&グルーヴィーなR&B。この1~2曲目の流れはなかなか気持ちいい。重い金属的なビートの「Pheromone」、レイヴ/ハイ・エナジー的な「Loose!」辺りは評価の分かれるところだろうが、やはり個人的には好みではない。非常にシビアでダークな「Papa」、ラップ調ヴォーカルで人種問題を糾弾するファンク「Race」、オーセンティックなソウル・バラード「Dark」、スピリチュアルなアカペラ・バラード「Solo」、「Letitgo」はオリエンタルなムードが微かに漂うミッド・グルーヴ。ラストの「Orgasm」は要注意。