something new
Something New / New Horizons
 Columbia '83 

80年代ファンクの最重要バンド、ザップとその頭脳であるロジャー・トラウトマン。
「More Bounce To The Ounce」「I Heard It Through The Grapevine」「Dance Floor」と順調にヒットを飛ばしバンドが軌道に乗ると、ザップ/ロジャー名義以外にも複数のプロジェクトを手がけるようになる。
この4人組(後に5人組みに)ヴォーカル・グループ、ニュー・ホライズンズも、ロジャーがプロデュースを手がけたサイド・プロジェクトのひとつ。アルバムは2枚あるが、本作『Something New』は83年リリースの1作目。ロジャーの他、ラリー、レスター、ザップのトラウトマン兄弟をはじめ、ボビー・グローヴァー、レイ・デイヴィスらザップ・ファミリーが総出でバックアップ。ザップのメンバーが演奏しているので、本作で聴けるのは当然ながらあのザップのサウンド。同じ時期のため、まるで『Ⅲ』のアウトテイクを聴いているかのようだが、そう言っては失礼なぐらい完成度は高い。ザップのファンなら間違いなく楽しめる作品。ちなみにバーニー・ウォーレルも参加しているようだが、それっぽいプレイは聴かれない。

アルバム・オープニングの「Your Thing Is Your Thing」は、チャカチャカとファンキーなカッティング・ギターや、どデカいハンド・クラップ音が完全ザップ仕様のダンサブルなファンク・チューンで、曲タイトルを歌うコーラスが"I Can Make You Dance"と歌っているようにも聴こえる。曲後半のキーボード・ソロもやたらカッコいい。
「I Can't Tell You」はゆったりとクレイドルなミディアム・スロウ・チューン。コーラス・アレンジも練られていて、ソウル・マナーに溢れた非常に気持ちイイ曲。アルバム・タイトル曲「Something New」も、どこを切ってもザップな金太郎飴なファンクで、「Do Wa Ditty」的なポップ・センスも滲む。
「Country Line」は炸裂するビートに絡まる「Brand New Pplayer」っぽいロジャーのギターがカッコいいミッド・ファンク。「Reaching For New Horizons」はポップで朗らかなミディアム・ナンバー。和みの1曲。ラストの「Your Thing(Rap)」はエレクトロなラップ・ナンバーで、コレは翌年のロジャーのソロ2nd『The Saga Continues...』への繋がりも感じさせる。