a whole new thing
A Whole New Thing / Sly & The Family Stone
 Epic '67 

シンシア・ロビンソンが亡くなった。
ファミリー・ストーンのオリジナル・メンバーという事実だけでも偉大な存在だが、その前身バンドであるストーナーズ時代からスライと活動を共にし、全盛期はもちろん、スライの妹弟達でさえ離れていった70年代中盤の低迷期もスライを見捨てずに支え続けた人。婚姻関係にはなかったものの、スライの娘を産み育てたシンシアとスライの関係は、ソウル・メイトとでも言えるものだったのだろう。
「Dance To The Music」や「Sing A Simple Song」で聴かれる破壊力抜群のシャウトは、もうそれだけで大いなるファンク遺産。また、ファンク/ソウル界では、おそらくほぼ唯一の女性トランペッターであり、スライのファンク革命にシンシアの果たした役割はあまりに大きい。
今日はスライとファミリー・ストーンの記念すべきデビュー作『A Whole New Thing』でシンシア追悼を。まだこの時点では、スライもいろいろと手探り状態。しかし、完成度はともかく、既に他とは違う何かを十分に感じさせる。ゴツゴツとウネるグレッグとラリーのリズム・セクション、厚みよりも突破力で勝負するシンシアとジェリーの2管。彼らの偉大な足跡の原点として非常に興味深い、ソウルとロックのハイブリッドを試みた実験精神溢れる作品。「Underdog」「Advice」「I Cannot Make It」「Trip To Your Heart」「Bad Risk」など、強力なフックを携えた好曲多数で、ここでの成果は2年後の『Stand!』へと昇華されていく。オーティス・レディング「I Can't Turn You Loose」の影響が顕著な「Turn Me Loose」も、スライの音楽のルーツのひとつがスタックスなどのサザン・ソウルにあることを物語っている。