alone
Alone / Stephen Simmonds
 Tristar '97 

スウェーデン出身、ジャマイカとスウェーデンのハーフだというスティーヴン・シモンズ。
デビュー作となる本作『Alone』は本国スウェーデンと日本でリリース。スティーヴィーやプリンス、ボブ・マーリーに影響を受けたというサウンドは、その出自もあってか、USメインストリームのR&B公式に捉われない広義のソウル・ミュージック(後にリリースされた英米盤ではタイトルを『Spirit Tales』に替えジャケットも変更、曲も数曲入れ替え、ソウルショック&カーリンやラファエル・サディーク・プロデュース曲を加えたメジャー仕様)。
スティーヴンは作曲の他、ベース、鍵盤、ドラム・プログラミングなどを自ら手掛けマルチ・プレイヤーの片鱗を見せる。どこか憂いや翳りのあるメロディ・センスも良いが、その濡れた喉もかなり魅力的で、内省的なムードはスティーヴィーやダニー・ハサウェイの影がよぎる。
アルバム・タイトルの通り、アルバム全編に渡って通底するのは孤独感。誰も居ない暗い部屋で一人独白しているような密室的なムード。本作の日本でのプロモーションの際、ネイキッド・ソウルという表現が使われていたが、マイクを通さずに鼓膜に直接歌いかけてくるようなヴォーカルや、ややもするとチープにさえ感じられるプロダクションも含め、非常に生々しく響いてくる。本作リリース時、ディアンジェロやマックスウェルに続く才能の出現に震えたのを憶えているが、この1作のみで消えてしまったのは何とも惜しい。
アルバムは、まずは何と言ってもタイトル曲「Alone」が素晴らしい。乾いたリムショットが打ちつけるようにリズムを刻み、濡れたヴォーカルがヒリヒリと鼓膜を震わす幽玄スロウ。メロディ・メイカー、そしてシンガーとしてのスティーヴンの才を十分すぎるほどに見せつける名曲。日本盤ボートラのロード・フィネスによるリミックス「Alone(Funkyman Mix)」は、更にビートが強化され浮遊感も増し気持ちいい。
北欧の荒涼とした風景が広がる「Tears Never Dry」、スペイシーでグルーヴィーなR&Bトラック「Now's The Time」、虚空を彷徨うようなスロウ「For You」、パーカッションが生々しく響くアラビックな「Universe」、憂いを湛えたミディアム「Searchin'」、クラシカルなバラード「All The People」、オルガンやエレピの使い方にセンスを感じるグルーヴィーな「Get Down」、しっとりジャジーな「Let It Go」、太いボトムに乗るアコギとムーグが浮遊感を醸すミディアム「Hope U Do」、スケール感のあるバラード「Judgement Day」、ピアノ弾き語りのバラード「One」、夜の静寂に溶け込むスロウ「Thank You For」など、今聴いても実に瑞々しい、未完の大器による傑作。